P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-12
ジャン=ピエール・メルヴィル監督の「影の軍隊」は、正確に言えば、フィルム・ノワールではないと思う。
レジスタンスに身を投じた人間たちの姿を、セミ・ドキュメントタッチで綴った、社会派サスペンスだと思う。
だが、この映画の全篇を覆う、ダークな色調。
指名を果たすためには、愛するもの全てを捨てなければにらない非情な世界で、自己を引き裂かれ葛藤する男たちや女たち。
彼らの胸中をふさぐ悲哀と情念のたぎりは、まさにフィルム・ノワールの世界そのものだ。
とにかく、ジャン=ピエール・メルヴィル監督の簡潔で、切れ味鋭い演出の技が冴え渡った映画だ。