奇跡(1954) 作品情報

きせき

1930年頃のデンマーク。ボーエン農場の家長モルテン・ボーエン(ヘンリク・マルベルイ)は、妻に先だたれたが3人の息子や孫たちにかこまれて悠悠たる老境を過ごしていた。彼は一代で農場をたて、信仰心あつく、人々の信頼を集めていたが、信仰が奇跡をもたらすと信じる彼を冷笑している者もいた。長男のミケル(エミル・ハス・クリステンセン)は神を信じようとはせず、次男のヨハネス(プレベン・レルドルフ・ライ)は神を信じすぎ、自分をキリストと信じていた。三男のアーナス(カイ・クリスチャンセン)は、モルテンとは宗教で対立する仕立屋ペーター(アイナー・フェーダーシュピール)の娘アンネ(ゲルダ・ニールセン)に恋していた。モルテンにとって、救いはミケルの嫁で、2人の孫娘の母であるインガ(ビアギッテ・フェザースピール)だけだった。インガはボーエン家のささえで、夫と養父の対立を気づかい、今生まれようとしている3人めの子供がモルテンの願い通り男の子であることを祈っていた。彼女はモルテンを説得して、アーナスのアンネへの求婚を認めることに成功するが、ペーターはこれを拒絶した。怒ったモルテンがアーナスの家のりこんだ頃、ミケルが電話で、インガが産気づき、母子の生命が危い難産になりそうなことを知らせてきた。ヨハネスの不吉な予言通り、一時、助かると思われたインガは子供ともども死んでしまう。悲しみにつつまれたインガの葬式。ペーターはアンネをつれて和解を申し出た。インガの枢のふたが閉じられようとした時、奇跡が訪れようとしているかのように、正気に戻ったヨハネスが帰ってきたのだった。

「奇跡(1954)」の解説

デンマークの村を舞台に、現代では奇跡は起りえないと信じながらも、なお伝説の再現を待ちつづける人々を描く。製作はエーリク・ニールセン、監督は「吸血鬼」のカール・テオドール・ドレイエルで、カイ・ムンクの戯曲『言葉』を基にドレイエル自ら脚色。撮影はヘニング・ベントセン、音楽はポール・シーアベック、編集はエーディト・シューリュセル、美術はエーリク・オースが各々担当。出演はヘンリク・マルベルイ、エミル・ハス・クリステンセン、プレベン・レルドルフ・ライ、カイ・クリスチャンセン、ビアギッテ・フェザースピール、アイナー・フェーダーシュピール、ゲルダ・ニールセン、オーヴェ・ルー、ヘンリー・スケアー、アン・エリザベット、スサンネなど。2003年10月11日より、東京・有楽町朝日ホール、京橋・フィルムセンター、渋谷・ユーロスペースにて開催された「聖なる映画作家、カール・ドライヤー」にて上映。2023年12月23日より、シアター・イメージフォーラムほか全国で開催の「カール・テオドア・ドライヤー セレクション vol.2」にて、劇場上映。(配給:ザジフィルムズ)

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1979年2月10日
キャスト 監督カール・テオドール・ドレイエル
出演ヘンリク・マルベルイ エミル・ハス・クスリテンセン プレベン・レルドルフ・ライ カイ・クリスチャンセン ビアギッテ・フェザースピール アイナー・フェーダーシュピール ゲルダ・ニールセン オーヴェ・ルー ヘンリー・スケアー アン・エリザベット スサンネ
配給 フランス映画社
制作国 デンマーク(1954)
上映時間 126分

(C) Danish Film Institute

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-02-27

渋谷のイメージフォーラムで特集上映された様だが,本篇は神田神保町の岩波ホールで視聴,裁かるるジャンヌやドライエル監督初期の飲酒運転禁止のキャンペーンフィルム等は国立フィルムセンターのデンマーク映画の特集上映で。息詰まる大胆なクローズアップと光と翳の圧倒的な映像の世界

最終更新日:2024-12-02 15:53:10

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