P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-05-17
この映画「007/オクトパシー」は、シリーズ13作目の作品で、三代目ジェームズ・ボンド役のロジャー・ムーアも、すっかり落ち着いて、堂々たる貫禄だ。
20年間に13本と作品が続いていて、大ヒットしたからといって乱作せず、一本一本に新しいアイディアを傾注とていった、その努力が、この面白さを生んでいるのだろう。
今回の題名のオクチートパシーとは蛸の事。
実はオクトパスと言わずに、オクトパシーと呼ぶところが、いかにも007らしい楽しさが隠されていると思う。
原音では、オクトプシーと発音しているのだが、プシイとは可愛子ちゃん、更に女性のポイントという意味がある。
蛸の吸盤とかけてあるところなんか、思わずニンマリとするところですね。
このオクトパシーと呼ばれる謎の美女が、ソ連の野心家の将軍と手を結んで、陰謀を企んでいるのだが、お馴染みジェームズ・ボンドが、乗り込んで、その陰謀を探るのだ。
まあ、よくぞ考えたと思われる程、危機また危機の痛快アクション。
まさに、連続活劇の復活を思わせるのだ。
この映画の公開当時は、SF映画がブームになっていた時代で、SF風のストーリーを考えるのが普通だ。 ところが、何とこの映画は、SF的な素材をいっさい排して、ジェームズ・ボンドが肉体を駆使して闘う、連続活劇そのものに徹して見せるのだ。 走る列車の中や、屋根での大アクション。 空飛ぶ飛行機の上での格闘。まさに映画の原点に帰った面白さ。 この映画のプロデューサーのアルバート・ブロッコリが、根っからの商売人で、観客を楽しませる事だけに考えを集中して、何のテライもない事が、この成果に繋がったのだろう。 インド・ロケの魅力もたっぷりだが、ジョン・グレン監督の、対象を常に大きく掴んで見せる演出の勝利だと思う。 後半で、オクトパシー美女軍団が、アマゾネスばりに活躍するあたりは、いささか邪劇めいた雰囲気もあるが、少しも画面から目を離せない、スリルの盛り上げはさすがだ。