P.N.「bakeneko」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-11-26
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
推理小説家:日下圭介が新聞記者だった頃に応募して江戸川乱歩賞を獲った処女作ミステリーを映像化したもので、デビューしたばかりの樋口可南子(19歳)や翌年に結婚引退する林寛子(18歳)らの若さも刻み付けられている本格推理劇であります
岐阜県の温泉旅行中にバッグを撮り間違えられた学生(田中健)が持ち主を訪ねてゆくと、バッグの持ち主の女性は旅行の前に死亡していた。更にバッグの中にあった持ち主の女性が書いた手紙の宛先人も十数年前に亡くなっていたことを知った学生は興味を惹かれて、友人と恋人(樋口可南子)の協力を得て調査を開始するが…という素人探偵サスペンスで、プロローグで松尾嘉代が悪役であることは提示されていますが、終盤では更なる知能犯が隠されていたことに驚かされる作劇となっています。
1時間半の枠に収めるために、かなり原作を改変した端折った展開となっていますが、奇抜なアイディア&トリックという本格推理劇としての愉しさは保持されていますし、貫録の松尾嘉代&本作がデビューとなる初々しい樋口可南子&子役デビューから10年を経てかなり薹が立ってきた林寛子ら…それぞれの女優も見所となっています。
また、ウラナミシジミという蝶が物語に絡むということで、かなり苦労して映像に採り込んでいて、冒頭のウラナミシジミこそ本物の標本ですが、劇中で翔んでいるの生きた蝶はカラスアゲハ、幼虫はイチモンジセセリのフッテージを利用していますし、終盤では紙を切り抜いた蝶々を操演して乱舞の様子を見せています(スタッフさんは大変だったんだろうなあ~)。
素人から玄人まで女優たちの個性を生かしつつ、都心での野外ゲリラロケや提供観光地の宣伝映像も盛り込み、更に「土曜ワイド劇場」名物である“21時55分のおっぱいサービス”まできちんと熟している―石井輝男監督の職人技が光る本格推理劇で、蝶は偽物ですが小鳥は本当に樋口可南子さんの指に留まっていますよ♡