要塞 作品情報

ようさい

第2次大戦中、イタリアの小村レアノートの住民は、パルチザンの居所をしゃべらなかったために、ナチ親衛隊のタウシグ少佐(ジャック・セルナス)の命令で、皆殺しにされてしまった。かろうじて生き残ったアルド少年(マーク・コレアノ)をリーダーとする17人の少年たちは、肉親の復讐を誓いあった。その頃、アメリカの破壊工作員が、ドイツの反撃を阻止するため、デラ・ノルテのダム破壊に送りこまれたが、フォン・ヘクト大尉(セルジオ・ファントーニ)に率いられたドイツ兵に、次々と射殺されてしまった。アルドたちは、ただ1人生き残り負傷していたターナー(ロック・ハドソン)を助け、ドイツの野戦病院から女医のビアンカ(シルヴァ・コシナ)をつれて来た。患者がアメリカ兵だと知った彼女は、治療をことわったが、少年たちに襲われそうになったところをターナーに救われたので、身を守ってもらうためにも、治療せざるをえなくなってしまった。傷もいえたターナーは、ダム破壊の任務を遂行するため、少年たちの助けをかりることにした。ビアンカを捕虜にしたまま、一行はダムへ向かったが、途中で彼女はターナーを刺そうとした。彼女を突き倒したターナーは、激情にかられるままに、彼におそいかかったビアンカを犯してしまった。ダムが見える場所まで来た時、アルドの提案で、現在ドイツ軍司令部になっているレアノート村を襲撃した。襲撃は大成功で、村のドイツ兵を文字通りの皆殺しにしてしまった。一方ドイツ軍では、アメリカ軍の目標がダムにあると主張するヘクトと、それに反対する親衛隊司令官のヤニングス大佐(トム・フェレイ)が言い争っていたが、ついにヘクトは、帰って来たタウシグ少佐を射殺し、ダムに急いだ。だが、時すでに遅く、ターナーは少年たちの手をかりて、爆破に成功していた。しかし、これによって2人の子供の命が失われた。そのうちの1人は、逆上したアルドに誤って殺されたのだった。また、単身彼らを追って来たヘクトを殺そうとしたアルドは、ターナーや副リーダー格の少年ディノ(ジョン・フォーダイス)にとめられた。ターナーは半狂乱になったアルドをみて、自分が彼らにさせていたことの恐ろしい結果を知った。そして、彼らを再び平穏へ連れ戻すために、ビアンカと共に、連合国軍の車に乗せるのだった。(ユナイト配給*1時間49分)

「要塞」の解説

ナチに復讐を誓った少年たちと破壊工作員の活躍。製作はスタンリー・S・カンター、監督は「サイレンサー 破壊部隊」のフィル・カールソン、S・S・シュバイツァー、スタンリー・コルバートのストーリーをオスカー・ソウルが脚色。撮影は「想い出よ、今晩は!」のガボール・ポガニー、音楽は「シシリアン」のエンニオ・モリコーネ、美術はアリーゴ・エクイニ、編集はテリー・ウィリアムズがそれぞれ担当。出演は「大いなる男たち」のロック・ハドソン、「ネレトバの戦い」のシルヴァ・コシナ、「地獄へ突込め」のジャック・セルナス、「心を繋ぐ6ペンス」のマーク・コレアノ。他にセルジオ・ファントーニ、トム・フェレイ、ジョン・フォーダイスなど。デラックスカラー、ワイドスコープ。1970年作品。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1970年9月30日
配給 ユナイト
制作国 アメリカ(1970)

ユーザーレビュー

総合評価:4点★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2025-04-17

この映画「要塞」は、フィル・カールソン監督、ロック・ハドソン主演、シルヴァ・コシナ共演の第二次世界大戦のイタリアの村を舞台にした、戦争アクション映画だ。

主演のロック・ハドソンは、かつて「ジャイアンツ」「目かくし」「トブルク戦線」などでの男性的でタフなイメージで、アクション映画からロマンティック・コメディまで、あらゆるジャンルで活躍した俳優でしたが、惜しくもエイズで亡くなった時には驚いたものでした。

この映画では、従来の明るいイメージのキャラクターから脱皮して、ヒゲをはやし、いかにも精悍な顔付きで、ニコリともしない不愛想で、だけど心の奥に優しさを包み込んだキャラクターを好演していて、彼の新しい魅力を発見した思いです。

そして、共演のシルヴァ・コシナは、ピエトロ・ジェルミ監督の名作「鉄道員」での清楚で可憐な演技が素晴らしかったのですが、その後、ハリウッド映画へ進出し、ポール・ニューマンと競演した「脱走大作戦」、カーク・ダグラスと競演した「ボディガード」などで、主演スターの添え物的な役柄が多くなっていったのが残念な女優さんでした。

映画自体は、ドイツ軍に対するレジスタンス、それもこの映画では、ナチス・ドイツによって村を焼き払われ、父母や家族を殺された生き残りの少年たちが、パラシュート降下の際、生き残ったアメリカ軍の大尉、ロック・ハドソンの指導を受け、パルチザンとなって復讐していくというストーリーが展開していきます。

途中、この一行に女医のシルヴァ・コシナが加わり(彼女は実際ナポリ大学の医学部で医学を学んでいた才媛なのです)、彼らはドイツ軍の宿舎を襲ったりしながら、最終目的のダムを破壊するクライマックスへとなだれこんでいきます。

最終的に、彼らは目的を果たすのですが、最後に残るのは戦争の虚しさだけ--------。

アメリカ映画ですので、どうしても戦争の悲惨さや愚かさを描くというよりも、戦争娯楽アクションという枠組みの中で、大いに楽しんでもらって、その中に、戦争反対のメッセージも匂わせるという内容になるのは仕方がないのかも知れません。

最終更新日:2025-04-19 16:00:02

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