間違えられた男 感想・レビュー 3件

まちがえられたおとこ

総合評価5点、「間違えられた男」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-02

アルフレッド・ヒッチコック監督が、「実話に基づいた映画」を撮ったのは、この「間違えられた男」が、最初で最後だった。
そして彼が、自らカメオ出演しなかった作品も、この映画一本だけだ。

もっとも、映画の冒頭、彼は逆光の中にたたずみ、「これは、私の映画の中では異色の作品です」と観る者に語りかける。

ところが、この「間違えられた男」は、ドキュメンタリーよりも寓話の匂いを強く漂わせている。
黒白の簡潔な構図や、時間の直線的な処理は、ドキュメンタリー的なのだが、観終えるとなぜか、脂の乗った物語を聞かされたような後味が残る。

主人公は、ニューヨークのナイトクラブで働いている堅物のベース奏者マニー(ヘンリー・フォンダ)だ。

彼は、派手なクラブで黙々と演奏し、仕事が終わると毎朝、定刻に帰宅する。 そんなマーニーがある日、強盗犯に間違われて逮捕される。 顔や様子がそっくりという証言が相次いだからだ。 善良な羊を演じるヘンリー・フォンダの人相が、どこか邪悪で陰険な気配を放つのも、話の隈取りを濃くしていると思う。 さらに、随所で用いられるフェイドアウトの技法は、「——」で終わる文章のような効果をもたらす。 冒頭の宣言にもかかわらず、ヒッチコック監督は、快楽的な映画作家の本能をつい覗かせてしまったようだ。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-05-21

幼い頃から警察が大嫌いだったと言われるヒッチコック監督は、逮捕、取り調べ、留置、拘置といった、ありきたりの手順を、平板でいながら妙な執拗さを滲ませたタッチで撮っていく。

善良な羊を演じるヘンリー・フォンダの人相が、どこか邪悪で陰険な気配を放つのも、話の隈取りを濃くしていると思う。

さらに、随所で用いられるフェイドアウトの技法は、「——」で終わる文章のような効果をもたらす。

冒頭の宣言にもかかわらず、ヒッチコック監督は、快楽的な映画作家の本能をつい覗かせてしまったようだ。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-05-21

アルフレッド・ヒッチコック監督が、「実話に基づいた映画」を撮ったのは、この「間違えられた男」が、最初で最後だった。
そして彼が、自らカメオ出演しなかった作品も、この映画一本だけだ。

もっとも、映画の冒頭、彼は逆光の中にたたずみ、「これは、私の映画の中では異色の作品です」と観る者に語りかける。

ところが、この「間違えられた男」は、ドキュメンタリーよりも寓話の匂いを強く漂わせている。
黒白の簡潔な構図や、時間の直線的な処理は、ドキュメンタリー的なのだが、観終えるとなぜか、脂の乗った物語を聞かされたような後味が残る。

主人公は、ニューヨークのナイトクラブで働いている堅物のベース奏者マニー(ヘンリー・フォンダ)だ。
彼は、派手なクラブで黙々と演奏し、仕事が終わると毎朝、定刻に帰宅する。

そんなマーニーがある日、強盗犯に間違われて逮捕される。
顔や様子がそっくりという証言が相次いだからだ。

最終更新日:2024-06-12 16:00:02

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