渚にて 作品情報

なぎさにて

1964年。第3次世界大戦の原水爆による戦闘のため、地球上の北半分は絶滅し、死の灰は南半球にも迫っていた。タワーズ艦長(グレゴリー・ペック)指揮の米原子力潜水艦ソーフィッシュ号は、難を逃れてオーストラリアのメルボルンに入港した。オーストラリアの若い海軍士官ピーター(アンソニー・パーキンス)は、妻と赤ん坊を故国に残し、ソーフィッシュ号に同乗して北半球偵察に行くことを命じられた。タワーズ艦長に会ったピーターは、艦長を自宅のパーティに招いた。女友達モイラ(エヴァ・ガードナー)もその席に招かれた。パーティの席上、原子科学者オスボーン(フレッド・アステア)の、原子力戦に関する口論で一同は雰囲気をそがれてしまった。タワーズ艦長はモイラにひかれるものをおぼえ、2人はデートした。しかし、彼が故国の妻子の話ばかりするのでモイラはいらいらした。ソーフィッシュ号はやがて出航した。到着したサンフランシスコは死の町と化していた。サンディエゴで死滅したはずの町から発信されている無電を調査した乗組員は、それが風のいたずらであることを知った。艦はメルボルンに帰港した。オーストラリアの諸都市も次々と死滅していった。自動車レースが開かれ、自動車狂のオスボーンは大荒れに荒れるコースを乗り切って優勝した。タワーズとモイラは山小屋で一夜を明かした。いよいよ、メルボルンにも最後の時が近づいてきた。街では自殺用の薬が配給された。ピーターは身を切られる思いで妻子を納得させ、薬を与えた。オスボーンは車庫を密閉し、自動車の排気ガスで自殺した。一方、ソーフィッシュ号はアメリカに帰国することが決定した。タワーズもモイラへの想いを断ち切って艦に乗った。出航を知ったモイラは渚でいつまでも潜水艦を見送った。艦は一路、死の海に向かって進むのだった。

「渚にて」の解説

ネヴィル・シュートの原作に基づき、「手錠のままの脱獄」のスタンリー・クレイマーが製作・脚本した人類の未来の物語。脚色はジョン・パクストン。撮影担当は、ジュゼッペ・ロトゥンノ。音楽はアーネスト・ゴールド。出演するのは「勝利なき戦い」のグレゴリー・ペック、フレッド・アステア、エヴァ・ガードナー、アンソニー・パーキンスなど。製作スタンリー・クレイマー。

公開日・キャスト、その他基本情報

配給 日本ユナイテッド・アーチスツ
制作国 アメリカ(1959)
上映時間 135分

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、3件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-14

この映画の面白いところは、戦争の残虐さを残虐なシーンを見せることによって訴えるというような、通常よくある手法を用いるのではなく、逆に全くそういうシーンを描くことなく、見事に"戦争の無益さ"というテーマを表現している点です。

この映画においては、核戦争が発生したならば、軍事施設の次にターゲットになるであろうはずのサンフランシスコのような大都市ですら、無傷で残っているのです。

ただし、そこには誰一人生存者はいないわけであり、無傷で残った大都市に、ただの一人も人間が住んでいないという不思議な光景が、実に奇妙な虚無感を生み出すことに成功しているように思われます。

最終更新日:2024-07-24 16:00:02

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