戦場にかける橋 感想・レビュー 5件
せんじょうにかけるはし
総合評価3.67点、「戦場にかける橋」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-06-14
この味方の連合軍の兵士によって爆破されてしまう”橋”を、戦争というものの無意味さを象徴するものとして、シンボリックに描いたデビット・リーン監督の演出の意図は成功していると思う。
このように戦争を題材にした作品でも、デビッド・リーン監督のような超一流の監督の手にかかると、さすがにそのレベルが違う。
英・米・日の三つのタイプの軍人気質の対立を軸に、スケールの大きな”人間ドラマ”に仕立て、普通のありきたりの戦争映画や捕虜収容所映画の範囲を遥かに超えた、感動を生み出していると思う。
映画を観終えて、アレック・ギネス率いるイギリス軍捕虜たちが口笛で吹く「クワイ河マーチ」が、いつまでも耳の奥に残って、私の心を名画を観た後の心地良い余韻に浸らしてくれるのです。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★☆☆☆☆
- 投稿日
- 2024-06-14
この主人公三人の三者三様の軍人気質の葛藤が、この物語の大きな軸になっているが、何といってもジャングルの中での”集団ドラマ”として、そのスケールの大きな展開が、実に見事だ。
その後、ウィリアム・ホールデンは、不屈のアメリカ魂の持ち主なので、脱走を図り、見方に連絡するとまた引き返し、完成した橋にダイナマイトを仕掛けるのだ。
このように、焼けつくような太陽の下での厳しい労働、軍人の意地、そして脱走と、男性的な骨太のドラマを息もつかせず見せていく、デビッド・リーン監督の演出は、さすがに素晴らしい。
敵軍のための橋なのだから、アレック・ギネスのイギリス将校は、橋の爆破を喜ぶべきなのに、自分たちが必死で架けた橋を守ろうとし、争ううちに爆発が起こり、敵も味方も橋もろとも壮絶な最期を遂げてしまう——-。
アレック・ギネスが最後に取ったこの行動が、滑稽に見えないで、人間としての自然な気持ちのように思われるところまで、デビッド・リーン監督は、観ている私の心をグイグイと物語の内側へと引きずり込んでいくのです。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-06-14
この「戦場にかける橋」という作品は、第二次世界大戦下のタイとビルマの国境近くの日本軍の捕虜収容所が舞台で、この地で日本軍と日本軍の捕虜となった連合軍が、タイ=ビルマ国境のクワイ河に鉄道用の橋を架けるために捕虜たちが動員されるが、イギリス軍指揮官のアレック・ギネスは、ジュネーヴ協定違反だと抗議して従おうとしない。
彼は営倉へ入れられるが、騎士道精神にもとるからと言って、脱走計画にも応じない。
日本軍の捕虜収容所長の早川雪州は、西欧的な教養も身につけていて、そんなアレック・ギネスの態度に自身のサムライ魂と共通するものを見出し、あらためて協力を依頼する。
そこでアレック・ギネスは早川雪州の心情を理解し、日本軍の技術者が建築に失敗した架橋工事を、部下とともに始めるが、同じ捕虜仲間のアメリカ軍のウィリアム・ホールデンは、敵の軍隊のために工事に熱中するなんて愚かなことだと呆れて見ている。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-06-14
デビッド・リーン監督はイギリスの生んだ最も才能豊かな映画監督の一人で、彼の名前を最初に世界的にしたのは、中年の良識ある男女の恋を、落ち着いた緻密な心理描写で見事に描ききった「逢びき」だ。
続いて「大いなる遺産」「オリヴァ・ツイスト」などのチャールズ・ディケンズの映画化でも巧みな語り口を見せ、再び中年の男女の恋をうきうきした気分の中でリリシズムのやるせなさで描いた「旅情」を撮り、映画界で名匠の地位を築いていったと思う。
そんなデビッド・リーン監督が、名プロデューサーのサム・スピーゲルとコンビを組んだ、スケールの大きい、ダイナミックで力強い、起伏に富んだ2本の作品「戦場にかける橋」と「アラビアのロレンス」を発表することによって、世界の映画界で最も風格のある物語の語り手になっていったのです。