P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-06-01
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
ジャック・レモンが得意のうだつのあがらないサラリーマン役に扮し、そんな彼があるパーティで目の覚めるような、カトリーヌ・ドヌーヴ扮するフランス美人と知り合い、いい仲になるのだが、なんと彼女は社長夫人だということがわかり、さあ大変--------。
ジャック・レモンは、自分を蛙に見立てて、それまでのふがいない自分から脱皮して、手の届かない王女のような存在のカトリーヌ・ドヌーヴへの愛を全うするために、全てを投げ捨てパリへと行くのだった--------。
こんな現実離れのした、夢のようなお伽噺の世界を描いたロマンティック・コメディーなのですが、ジャック・レモンとカトリーヌ・ドヌーヴの二人が演じることで、このお話は、その時点ですでにお伽噺の世界なんですよと我々に既に宣言しているわけで、観ている我々としては、その架空のお伽噺の世界にたっぷりと浸って酔いしれればいいわけです。
そして、この映画で最も意外だったのは、監督がスチュアート・ローゼンバーグだった事です。 ポール・ニューマンと組んだ「暴力脱獄」、ロバート・レッドフォードと組んだ「ブルベイカー」などの骨太の社会派映画や、ユダヤ人の悲劇を歴史の大きなうねりの中で描いた「さすらいの航海」などの優れた秀作を撮っていた彼が、まさかこのような軽妙なロマンティック・コメディーを撮るなんて、彼の多彩さに驚いてしまいます。