殺しの接吻 作品情報
ころしのせっぷん
ニューヨークは、次々に中年女が襲われ、しかも額に真赤なキスマークがついている猟奇的な殺人事件に震えあがった。ユダヤ系のめだたぬ平凡なモーリス刑事(ジョージ・シーガル)が事件を担当した。犯人は警察に電話で、ユーモアをまじえて犯行手口を語る変質者だった。第1の殺人は下町で起きた。神父の扮装をした男がアパートの中年女を訪れ、バスルームで絞め殺したのだ。犯人は、新聞にモーリス刑事の談話が載ってからは、モーリスに名指しで電話を入れてきた。逆探知は失敗し、第2の殺人も起きた。第1の殺人が起きたアパートで神父を目撃したという女、ケイト(リー・レミック)が参考人として出頭してきた。モーリスは彼女にひかれ、2人はデートをする仲にまでなった。ギル(ロッド・スタイガー)は劇場を持ち、善良で良識ある市民として、優雅な生活をしていた。ギルの母は著名な舞台女優であった。このギルこそ、ニューヨークを震えあがらせている猟奇殺人事件の犯人の、もうひとつの顔であった。大女優だった母の影響で扮装はおてのものだった。また、モーリスに電話をして手掛かりを与えても、決定的証拠は何も残さない知能犯だった。第3の殺人は未遂に終わったが、第4の殺人は警官の扮装で犯したものだった。度重なる失敗でモーリスは担当をおろされた。新聞でこれを知ったギルは、「俺は彼が気に入ったから手掛かりを知らせたのだ。彼を復職させないと--」と、大胆不敵に言い、電話を切った。第5の殺人は売春婦だった。復職したモーリスが情報を求めて売春婦を尋ねたのだが、目あての売春婦はいず、居合わせた常連たちと殺人の話をするうち、被害者に同情して中年の売春婦が声をあげて泣き出した。その気のいい売春婦こそギルであったのだ。犯人は変態性欲の気違いだというモーリスの新聞談話に激昂したギルは、第6の獲物としてケイトを狙った。ギルはレストランのウェイターの扮装をしてケイトのアパートに忍び込んだ。あわや!という瞬間、予告電話を推理したモーリスが飛び込んできた。夜の町に逃げ出したギルは、劇場に駆け込んだ。モーリスが追いつめて叫んだ。「何故だ!」。ギルは覚悟を決めて、偉大だった母親のことを語り始めた。有名な女優として君臨した彼女のことを--。そしてピストルで頭を射って果てたのだった。
「殺しの接吻」の解説
電話で犯行の手口を語り、次々に中年女を襲うマザー・コンプレックスの殺人者に“奇妙な友情”を感じながら、1人の刑事が追いつめる変わったサスペンス作品。製作は「歩け 走るな!」のソル・C・シーゲル、監督は「カレードマン 大胆不敵」のジャック・スマイト、原作はウィリアム・ゴールドマン、脚色はジョン・ゲイ、撮影はジャック・プリーストリー、音楽はスタンリー・マイヤーズがそれぞれ担当。出演は「軍曹」のロッド・スタイガー、「ハイウェイ」のリー・レミック、「さらばベルリンの灯」のジョージ・シーガルなど。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1970年12月5日 |
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配給 | CIC |
制作国 | アメリカ(1969) |
ユーザーレビュー
総合評価:4点★★★★☆、1件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-06-13
この映画の原作は、名脚本家のウィリアム・ゴールドマンの同名小説。
ニューヨークの地下鉄で頻発する、女性の連続殺人事件。
刑事のジョージ・シーガルは、被害者の額に、キスマークが残されているのを逆手に取り、犯人に罠を仕掛けるが-------。
ボストン絞殺魔をモデルに、刑事と犯人の奇妙な友情を絡めた、サスペンス映画の佳作だ。