P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-06-13
誰しもが心の中に抱いている、正義と勇気と愛という理想の”夢”は、今のような時代だからこそ、余計に膨らむもの。
現代における、人間性の回復を描きつづけて来た、ジョン・ブアマン監督は、そんな現代の若者の姿をこそ、中世伝説の中で、描こうとしたに違いないのだ。
えくすかりばー
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誰しもが心の中に抱いている、正義と勇気と愛という理想の”夢”は、今のような時代だからこそ、余計に膨らむもの。
現代における、人間性の回復を描きつづけて来た、ジョン・ブアマン監督は、そんな現代の若者の姿をこそ、中世伝説の中で、描こうとしたに違いないのだ。
美しいドレスを着て、高価な宝石を身に纏っているのではない。
布なのか革なのかわからない、つづれを纏い、自然の中を生き生きと闘い抜いていくのだ。
まるでヒッピーみたいな衣装。荘重、荘厳なムードよりも、テンポの速い、現代の若者たちが飛び跳ねている感じなのだ。
あの「スター・ウォーズ」が、宇宙の世界に現代のヤンチャ坊主どもを放り出して、暴れさせたのと同じ感覚なのだ。
それでいて、画面は実に美しいのだ。決して極彩色ではない。
いつか夢に見たことがある、遠い遠い憧れの見知らぬ国に来ているような気持ち。
あの誰もが経験する、夢の中のような、単色のベールがかかって、それが一種、夢幻の美しさを創り上げている。
夢幻の武者模様の美しさは、黒澤明監督の「影武者」の影響も大きいと思う。
の映画「エクスカリバー」は、ひとくちで言うと、アーサー王と円卓の騎士の物語だ。
英語圏の人々なら、知らぬ人とてない、中世のイギリスの英雄。
それまでも、アメリカ映画が何度も映画化してきた題材だが、この映画ではガラリと様子が違う。
父が岩にはめこんだ、宝剣エクスカリバーを抜いて、見事、王座についたアーサー王。
王妃グエナビアと共に、イギリスに正義の王国を作ろうとするのだが、裏切りと復讐の中で、滅ぼされてしまう。
王をめぐる円卓の騎士たちは、正義の再現の為、隠された聖杯探しに、放浪の旅を続けるのだ。
戦闘、魔術、勇気、愛----------。
あの有名な騎士ランスロットと王妃グエナビアの道ならぬ恋も織り込まれていて、興味が尽きない。
設定は同じでも、それまでのアーサー王伝説の映画化とはっきり違うのは、王妃も騎士も、完全に現代人なのだ。