元禄忠臣蔵 後篇 作品情報

げんろくちゅうしんぐらこうへん

真山青果が史的事実を調査して書き上げた十九幕からなる長編戯曲を原作を溝口健二が監督した作品 後篇

浅野家復興の儀かなわぬ”との報がもたらされ、ついに大石は江戸に向かった。主君の墓前に誓いを捧げ、瑶泉院を訪ねたが“仇討決行”は打ち明けなかった。そして元禄15年12月14日、夜来の雪を蹴散らし、吉良邸に討ち入って本懐を遂げた四十七士は、晴れて亡君の墓前に勢揃いした。その後、義士を助けろと世論は沸き上がったが…。(作品資料より)

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督溝口健二
出演河原崎長十郎 中村翫右衛門 河原崎国太郎
制作国 日本(1942)

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「グスタフ」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2019-10-14

日米開戦直前に公開された前篇に続いて、翌年の2月に公開された、溝口の完璧主義を貫く”忠臣蔵”。限りなく史実を追求した見せ場の少ない真山青果の原作を、女性を描くことを得意とする溝口が映画化する。後編は、仇討ちを望む富森が、甲府宰相徳川綱豊の催す能狂言に来た吉良を殺そうとするシークエンスから始まり、大石が瑤泉院に討ち入りを隠し別れを告げる劇的さが、その後の残された手紙と危急の知らせで盛り上がる。この女二人の場面の演出が素晴らしい。そして、討ち入りの戦闘シーンは省かれて、義士47人がそれぞれお預けされた場面がまた素晴らしい。花を贈られ死を覚悟するも、余興に熱中するシーンのカットバック。磯貝の許嫁おみのが男装して現れ、かつての愛の証を求める女の嘆きが、赤穂浪士ひとり一人の運命を暗示する。ワンショット・ワンシーンの持続した集中力で描かれた侍の矜持が、女性描写でさらに浮かび上がる溝口演出。磯貝に続く大石の顔から切腹の敷地に静かに移動するラストカットの厳粛な雰囲気が、最後を見事に締めくくります。

最終更新日:2022-07-29 15:08:16

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