10月23日(土)に『二人小町』公開記念舞台挨拶が開催された。監督を務めた曽根剛、そして本作へ友情出演した濱津隆之、香港よりSOKO和泉素行がリモート出演した。
本作が、10/22(金)より公開したことに対して監督は「公開まで長くかかってしまったんですけど、昨日からようやく公開できて嬉しいです。ありがとうございます。」と喜びを語った。和泉も「香港の方って日本が大好きなので、(本作を通して)香港の方とお友達になってくれる人が増えたら嬉しいなと思います。」と香港から笑顔で挨拶し、舞台挨拶が始まった。
2019年の春に香港で撮影した経緯を聞かれた監督は「(実は)内容を先に考えて香港を決めたわけではなく、香港で撮りたいねというところから企画が始まりました。」と企画の発端を回顧。「香港の街並みが今ちょうど変化していて、古い街並みと新しい街並みが混ざっていて、二人小町と香港が相性が良いんじゃないかと思いました。」と撮影しながらより香港を好きになっていたことを明かした。それを聞いた和泉は「香港を選んでいただいて、ありがとうございます。」と素直に監督に感謝を伝えた。そして全編広東語での撮影に、言語が分からなかったという監督は、「絵に映るものを優先し、言語に関しては和泉さんに助けられました。」と和泉の尽力を称えた。
死神役に和泉を選んだ経緯については、「香港で有名な日本人をネットサーフィンで検索して、僕がたまたま出てきて、曽根監督が死神っぽいってなんか言ってくださったんですよね。」と和泉自身が笑顔交じりに語る。これを受けた監督は「最初にネットで見た時の目に狂いはなかったなと。オーディションの時にも、かなり(死神役の)雰囲気を作ってきてくれたので、これならいけると思いまして、撮影になってその気持ちが強くなりました。」と和泉の演技を称えた。
映画の感想を聞かれた和泉は、「スクリーンを舐めたら香港の味がしてきそうな、香港の空気とか匂いとかそういうものを映像でしっかりと捉えられていて…」と笑顔で語りつつも、「(香港の自体の変化や、映画の検閲が厳しくなっている現状に加えて)コロナ前のこのタイミングで撮れていなかったら、この映画は今後も誕生しなかったんじゃないかなと思っていて、香港の歴史にとってもすごい意義のある映画になった。」と次第に真剣な表情になりながらコメント。監督もこれには大きく頷いていた。
多忙なスケジュールを縫って香港に飛んだ濱津は、「印象的だったのは、高層の建物がすごく乱立していて、なんか不思議で夢の世界のような、異様な光景が今でも思い出されますね。」と撮影当時を思い返す。現地でも注目されているのを感じたという監督は、「映画「カメラを止めるな!」が香港で大ヒットしてた時だったから、ラーメン屋のお店の人が濱津さんの大ファンだったり、たまたまお店を通りかかった人がマスコミの方で、取材が始まったりしていました。」と濱津の香港での人気ぶりを語った。
香港を再び訪れた際に行ってみたい場所について聞かれた監督は「撮影地を探すにあたって、香港を色々と回ったんですけども、昔の街並みが残っている場所にも行ってみたいですね。」と笑顔を見せた。対照的に、滞在期間が短かった濱津は「自分は全然行けてなかったので、今度は色々回って、映画の中で出てたきれいな場所とかに行きたいです。」と会場の笑いを誘った。
舞台挨拶の最後には、和泉が「死神を演じていて、創作は人を救うな、と思いました。皆様も日々、これからも創作を続けてほしいなと思います。」と観客にもエールを送った。濱津は「こうやって上映できているということが本当に幸せなことだなと思います。」とコロナの現状を踏まえて想いを滲ませた。ただ、そういった状況ながらも曽根監督からは「香港という場所を広めて、どんどん行って頂けたらなによりも嬉しいです。」と香港愛を感じさせる前向きな挨拶にて、舞台挨拶を終えた。