コロナ禍延期、台風を乗り越えついに水俣市での先行上映が実現!「世代を超えて繋がり、次の一歩に踏み出す」『MINAMATA―ミナマター』水俣市先行プレミア上映会

コロナ禍延期、台風を乗り越えついに水俣市での先行上映が実現!「世代を超えて繋がり、次の一歩に踏み出す」『MINAMATA―ミナマター』水俣市先行プレミア上映会
提供:シネマクエスト

日時:9月18日(土)
場所:水俣市文化会館
登壇者:アイリーン・美緒子・スミス氏

ジョニー・デップ製作/主演最新作『MINAMATA―ミナマター』が9月23日(木・祝)にTOHOシネマズ 日比谷他にて全国公開となる。熊本県水俣市のチッソ水俣工場の廃水を原因とし、現在まで補償や救済をめぐる問題が続く水俣病。その存在を世界に知らしめたのが、写真家ユージン・スミス氏とアイリーン・美緒子・スミス氏が1975年に発表した写真集「MINAMATA」だ。ジョニー・デップ自身が長年の憧れだったと語るユージン氏。彼の遺作ともなったこの写真集を基に、ジョニー自身の製作/主演で待望の映画化が実現。映画では、報道写真家として功績を評価されながらも心に傷を抱えたユージン氏が、パートナーのアイリーン氏とともに水俣を訪れ1971年から3年間現地で暮らし、人々の日常や抗議運動、補償を求め活動する様子を何百枚もの写真に収めていく濃密な日々がドラマチックに描かれる。本作は、2020年ベルリン国際映画祭で特別招待作としてワールドプレミア上映されジョニーの魂の演技に各国メディアが絶賛をおくった。日本のマスコミ試写でも「こんなジョニーは久しぶりにみた」「ジョニーの魂のこもった演技が見事!」と話題に。共演はビル・ナイ、日本から真田広之、國村隼、美波、加瀬亮、浅野忠信、岩瀬晶子、など実力派キャストが集結。音楽を手掛けたのは坂本龍一。監督のレヴィタスは撮影前の2018年にプロデューサーらと水俣を訪れ、生き残った患者や家族と対面しこの出会いで「水俣の人々を正しく描こうと決意した」と語り、ジョニー・デップは先日行われた日本側のオンライン取材で、次に来日したら「まず水俣に行きたい。そして、水俣の皆さんに私の敬意を表したい。そしてお礼を伝えたい。」と語った。製作陣の思いを受けこの度、本作の全国での公開に先駆け9月18日(土)に映画の舞台である水俣市でのプレミア上映会を実施。写真家ユージン・スミスと共に水俣病の実情を世界に知らしめた、元妻アイリーン・美緒子・スミス氏が登壇し、水俣で本作が上映される思いを語った。

上映後の余韻に包まれる中、まずジョニー・デップのメッセージとアンドリュー・レヴィタス監督のメッセージが大きなスクリーンにかかる。ジョニーは「参加できたことをとても誇りに思う。この作品に刺激を受け、感動してもらえれば嬉しい。」と思いを語り、アンドリューは「本作を楽しんでいただき、世界でも起きていることを表現していると感じてもらえればと思う。水俣に伺いたかったのですが、パンデミックにより叶わなかった。心は皆さんとともにあります。」とコメント、ふたりのメッセージに会場は盛大な拍手に包まれ、その熱気の中で、本日のゲスト、アイリーン・美緒子・スミス氏が登壇。

まず、この水俣市で上映が実現したことの喜びの思いを語り、「写真集『MINAMATA』は当時、患者さんが迷いながらも私たちに撮っていいと言ってくれて、実現したもの。その多くの方は、すでにお亡くなりになっている。存命の方も、ご自宅や施設で生活をしているし、ここに来てくれている人もいる。その皆様に本当に感謝を伝えたい。ありがとうございます。」続けて「写真を見る時、ご本人になった気持ちで見て欲しい。フィクションだけど、映画は実際のことを描いている。当時の患者さんが頑張って立ち上がり、絶対に勝てるはずのない裁判に勝利したその功績は大きい。そのことがきっかけで日本は、安心できる日本に舵を切り替えた。その恩恵は私たちが今受けているもの。この場で立ちあがった皆様にお礼をしたい。」と重ねての感謝の思いを語り、会場からは再び大きな拍手があがった。

そして、水俣という地について「水俣のコミュニティに支えられて3年間写真を撮ることができた。」と振り返り、続けて思い出の場所は「沢山ある。夕方、水俣湾で夕焼けを眺めたり、その時間には五右衛門風呂の薪の匂い、夕食が始まる感じが懐かしい。ご褒美で、湯の鶴温泉も行ったりした。」と“第二の故郷”水俣の当時を懐かしんだ。

ジョニー・デップ演じるユージンについては「高台のシーンで、ユージンが工場を撮っている時、まさにそこにユージンがいると感じた。あまりにも似ているので、『暫く会っていないから、会いに行こう』と数秒思ってしまった」と振り返り、「ジョニーにユージンが憑依しような不思議な瞬間があった。」とコメント。写真集が映画になることを聞いた時は「実際に起こったことであるから不安と同時に、ここで起こった奇跡を世界中に知ってもらえるとわくわくして、知って欲しいと感じた。」と語る。ベルリン国際映画祭でプレミア上映された時、「胸がいっぱいになった。この町で起きたこと、作り上げた功績が世界中に知られて、公害の被害者の多くの方に力になると思った。そのパワーはすごく大きく、皆さんが誇るべき功績だ。」とコメント。

最後に水俣に住んでいる若い世代に向け、「スタッフとボランティア、皆様の力で、世代を超えて繋がった、この上映会を実現することができた。一人一人がもっているものを活かしてしていってほしい。この場をつくったことに喝采!」とエールを送り、イベントを締めくくりました。

さらに上映後の取材では真田広之さん演じるヤマザキ役のモデルの一人、川本輝夫さんのご子息である川本愛一郎氏は次のように語る。「65年経った今、純化されたメッセージとして見えてくるのは、勇気を振り絞り、声を上げた患者がいたこと。それがこの映画のメッセージでもある。真田さん演じるヤマザキは、まさに父の姿で涙が出た。」と語った。実行委員会の森山亜矢子さんは、「立場や所属、世代を超え、同じ時間にこの映画を共有すること意義がある。映画を観るのではなく、どう活用し次の一歩を踏み出すのか大事。」とコメント。それぞれの心に深く残る、イベントとなった。

最終更新日
2021-09-20 08:00:22
提供
シネマクエスト(引用元

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