世界中の一部で熱狂的な人気を誇るソ連製脱力映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』を、ゲオルギー・ダネリヤ監督自らアニメ化した映画『クー!キン・ザ・ザ』が 5 月 14 日より日本初公開となるが、この度、映画を象徴する言葉「クー!」の開発(誕生)35 周年を記念して、その言葉を発する場面を 41 連発で抜粋した特別動画が公開となった。
「キン・ザ・ザ」と言えばこの言葉「クー」。1986 年に製作された実写版映画である『不思議惑星キン・ザ・ザ』に登場し、最初は意味不明ながらも、子供から大人まで誰もが真似しやすいこともあり、映画の舞台となるキン・ザ・ザ星雲プリュク星を象徴する言葉として広く知られている。
キン・ザ・ザ星雲プリュク星には「キュー」という相手を罵倒する言葉があるが、それ以外の名詞、動詞、形容詞、副詞、感嘆詞などはすべて「クー」で表される。我々人類における「YES」「NO」を遥かに凌駕する機能を有し、挨拶もすべて「クー」だ。目上の人には必ず「クー」でお辞儀が礼儀。この度公開となるアニメ版、『クー!キン・ザ・ザ』も実写版を踏襲、チジョフとトリクの 2 人の主人公やさまざまな形容の宇宙人やロボットも「クー」を連発してコミュニケーションをとる。
この「クー」を開発時にはほかに候補として「キュー」のほかに「ケー」や「カー」もあったというが、ゲオルギー・ダネリヤ監督は政府の検閲により「クー」が消滅の危機に瀕したエピソードを残している。
「検閲によって、“クー”も消滅の危機に晒されそうになった。当時の最高指導者ブレジネフの葬儀の後に、重要な「クー」という単語を、急遽、別の言葉に替えなければならなくなりそうだった。ある日、「プラヴダ」紙を見ると一面には、「K.U.チェルネンコ」の名が太字でいくつも印刷されていた。これはブレジネフの後継者としてコンスタンチン・ウスチノフ・チェルネンコが任命されたという報道であった。プリュク星では「クー(KU)」が全てを意味して繰り返し使われていた。我々は考えた。「カー」? いや違う!「コー」? 違う! 「クィ」? ありかも…。しかし、いずれも馴染みの「クー」には劣る。考えているうちにチェルネンコも亡くなった。その後を受け継いだアンドロポフ政権は我々の仕事に全く影響しなかった」
そんな涙ぐましい努力によって生み出された「クー」。人類は常に利便性を追求して進化してきたが、もしかすると未来では様々な言語が集約されて「クー」同様最小限の言葉で深いコミュニケーションをとる状況になるかもしれず、その観点からいえば「クー」は人類を数百年、数千年先取りしたものともいえる。さらに想像すれば「クー」の先にあるのは言語消滅、テレパシーしかない。『不思議惑星キン・ザ・ザ』の制作から 35 年。そんな優れた言葉「クー」の特別動画(動画の最後には「キン・ザ・ザ」ファンが驚く仕掛けが)に散りばめられた様々な「クー」の真意を我々は読み取ることができるだろうか?
【映画『クー!キン・ザ・ザ』】選りすぐり「クー!」41連発
https://youtu.be/S6p9U8wVzRw