2019 年カンヌ国際映画祭監督週間で上映され注目を浴びたフィンランド映画『ブレスレス』が 12 月 11 日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショーとなる。研ぎ澄まされた映像で、生と死の狭間で生きる 2 人の極限の愛を描き出した本作は、カンヌ映画祭に始まり、世界各国、また本国フィンランドのアカデミー賞に当たるユッシ賞で 6 部門受賞するなど高い評価を受け、いよいよ日本上陸する本作の予告編が解禁となった。
失くした果てに溺れる刹那な痛み。
北欧から届いた、呼吸も止まるくらいに美しい愛と再生の物語。
妻を不慮の事故で失い、死んだように毎日を送っている外科医のユハ。救いを求めた先は、ふと迷い込んだ SM クラブだった。喉元を締め付けられ、窒息寸前の生死をさまよう中でだけ、妻と再会できるのだ。失意の中を生きてきた男と、痛みを与えることでしか生きられない女。出会ってしまった二つの悲しみは、誰にも奪えない唯一無二の愛へと発展していく。
その斬新なストーリーと卓越した演出力、完成された映像美で多くの観客に衝撃と感動を与えた。監督は、ユッカペッカ・ヴァルケアパー。前作『2 人だけの世界』(2014 年)でも国内外問わず映画祭でも高い評価を受けており、北欧を代表する気鋭の監督として注目を集めている。本作では、研ぎ澄まされた光や色調の息をのむ映像と、生と死の世界を時間や音で表現する繊細な演出で、美しい愛と再生の物語を見事に描き出す。主演のユハに、ペッカ・ストラング。ドミナトリクス(女性の支配者)として生き、ユハとともに更なる危険な愛の領域へと足を踏み入れることになるモナを演じるのはクリスタ・コソネン。
今回映像初解禁となる予告編では、全編に渡り、湿度と北欧特有の薄暗さを感じさせる映像が印象的。怪しげなネオンに誘われるように SM クラブに足を踏み入れる主人公・ユハと部屋の主であるドミナトリクスのモナとの出会いから始まる。首を締められることでありし日の妻の幻影を見るユハ。”普通”の世界では生きられないと自覚しているモナ。出会ってしまった 2 人。日常生活と非日常的な空間である SM クラブ、次第に価値観が逆転していく。ユハが“生”の実感を求めるように、モナとのプレイにのめり込んでいくが、時としてそれは死と隣り合わせな危険な行為で…。不穏さに満ちた鞭の音、子供の声、そして EDM が次第に神経を昂らせていき、もう戻れないところまで観客を誘う。「犬はズボンをはかない」「聞き分けの悪い犬ね」といったボンテージに身を包んだ“絶対的女王様”モナのセリフも印象的。痛覚を伴う映像表現で魅せるユッカペッカ監督が描き出す究極の愛の行く末を期待させる予告編となっている。
『ブレスレス』予告篇(劇場版)
https://www.youtube.com/watch?v=3bVmCk-b1cY&feature=youtu.be