第 41 回ぴあフィルムフェスティバル コンペティション部門 PFF アワード 2019 にてひかり TV 賞、第 20 回 TAMA NEW WAVE ある視点部門入選と自主映画ながら高い評価を得た映画『アボカドの固さ』。4/11(土)よりユーロスペース、5月下旬にシネ・ヌーヴォ、出町座での公開が予定されていた本作は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、劇場公開が延期となっていた。緊急事態宣言下での「仮設の映画館」での先行上映を経て、新たな公開日が決定した。9/19(土)よりユーロスペース、10/10(土)よりシネ・ヌーヴォ、10/23(金)より出町座にて公開となる。
あわせて、是枝裕和監督、山内ケンジ監督、藤井道人監督らより第二弾コメントが到着。また、中村桃子の描き下ろしイラストを用いたコメントチラシビジュアルも解禁となった。メインビジュアルの写真をイラストにした本ビジュアルにも注目だ。
■ 映画『アボカドの固さ』を観てのコメント(追加)
普段の城さんからは想像できないような、真っ当な青春映画でした。劇中、お姉さんが主人公に、あんたの孤独なんて本当の孤独じゃない、と言うんだけど、そんな半端な!鬱屈とした感情が、それでも本人には人生の一大事なのがまた、青春のリアルなんだろうと、遥か昔を思い出しながら、チクリと胸を刺しました。
是枝裕和(映画監督)
前原瑞樹という無名の俳優が、本人を演じているのだが、これが素晴らしい映画だ!
前原瑞樹(無名)が、つきあっていた彼女にふられ、その後ただただ、うじうじと未練がましい、情けない生態を描くだけの100分。成長も克服も、あるいは劇的な絶望さえない。うじうじと未練だけなのだ。これは新しい。斬新だ。大げさでなく、必見の名作である。
山内ケンジ(劇作家・映画作家)
いる、いるよなあ。こういうやつ。
面倒くさいやつだなぁ。
生きるのが下手だなぁ。
でも、僕は誰かにとっての前原だったのかもな。
城監督の人の描き方はとてもユニークで毒があり、否定も肯定もしないその眼差しに並々ならぬ才気を感じました。
藤井道人(映画監督)
「明日もこの人の恋人でいたいですか?」という見えない問いに対して、2人中2人が賛成して、それを毎日続ける。
たったそれだけのことがこんなにも難しいなんて。
前原さん、
本当は次の元号が何になるかなんて全く興味がないのはバレバレでした。
あれから月日は経って、今は2020年7月です。もう寒くはないです。
前原さんの心からあの時よりは少しだけ、寂しさが消えていますように。
松本花奈(映像監督)
大胆に望遠と広角を使いわける、城真也監督のキレのいい切り返しショットが印象的。ロングテイクを使った独特の空間構築に、ハッと息を飲む。若者が集う居酒屋のシーンや、元カノの母親との気まずい対話など、じっと見詰めるような長まわしで俳優陣の素の部分を引きだしている。気づいたら、ダメ青年の鈍感で勘違いな恋愛模様に引きこまれているが、ビターでアーティスティックな後味を残す要注目作だ。
金子遊(批評家・映像作家)
映画館で友達と観たあとに前原くんのどこが無理だったか話して盛り上がりたかった。私たちはそんな話題で盛り上がる。お前の気持ちなど誰にでもわかるわって言いたい。でもなんか、この映画を作らないといけなかった人々も、恥ずかしくてこの映画を見ていられない人も、可愛いと思えてきてしまった。
ゆっきゅん