5 月 9 日(土)より新宿シネマカリテほかにて公開となる『SKIN/スキン』のメインビジュアル、特報が解禁となった。また本作監督ガイ・ナティーヴより作品へのメッセージも到着した。
私たちは狂った時代に生きています。人々は希望を失いました。「平和」と「愛」という言葉は無秩序なものとなり、反対に、暴力と憎しみは 24 時間年中無休で蔓延しています。2012 年にブライオンの記事を読んだとき、アメリカはまだ今とは異なる状況にあったけれど、私はすでに破滅の兆しを感じていた。だからこそ、一見不可能に思える変化を経験した男の希有な物語を伝えることが重要だと感じたのです。―ガイ・ナティーヴ
スキンヘッド、顔面に憎悪を象徴する無数のタトゥー。白人至上主義者に育てられ、差別と暴力に満ちた生活を送るブライオンは、シングルマザーのジュリーと出会い、これまでの悪行を悔いて新たな人生を築こうと決意する――映画『SKIN/スキン』は、イスラエル出身、ユダヤ人のガイ・ナティーヴ監督が、過去の自分と決別するために計 25 回、16 カ月に及ぶ過酷なタトゥー除去手術に挑んだブライオン・ワイドナーを追う TV ドキュメンタリー「ERASING HATE」(11)に感銘を受けたのがきっかけだった。まずは、この映画の製作資金を募ることを目的に、全額自己資金で物語や設定は異なるものの人種差別という同じテーマを扱った、短編『SKIN』(18)を製作。これが大きな反響を呼び、企画立ち上げから 7 年を経て長編『SKIN/スキン』が実現した。短編『SKIN』はのちに 2019 年アカデミー賞・短編映画賞を受賞している。
今回、お披露目されたメインビジュアルは、ブライオン演じるジェイミー・ベルがタトゥーだらけの顔面をさらし、力強く正面を見つめる姿が採用されている。『リトル・ダンサー』で鮮烈なデビューを飾り、近年では『ロケットマン』でエルトン・ジョンの親友バーニー・トーピン役を射止めたジェイミー。今回の役に魅了された彼は、短期間で 20 ポンドも体重を増やし役に臨んだ。また、本物のブライオンと会いに行ったり、彼が属していたグループの追跡をするなど独自に研究を行っていたというからその入れ込みようが伺える。撮影初日にガイ・ナティーヴ監督は、タトゥーなどのメイクを終え、本物のブライオンと化した彼をみて悪寒を感じたという。
同時に解禁となった特報でも、ハーケンクロイツの旗を掲げたレイシズム団体の中央で、松明を手にし、憎悪に満ちた表情で町を闊歩する姿を捉えることができる。このレイシズム団体も「ヴィンランダーズ」という実在の団体をモデルにしている。メインビジュアルでも分かる通り、ブライオンの右頬にある「Vinlanders SC」というマークは、実在のブライオンも彫っていたものだ。この団体は、オハイオ州を中心に活動を続け、2010 年にはアリゾナ支部の多くのメンバーが逮捕されている。メインビジュアル・特報では、「人は、生まれ変わることができるのか。」というコピーが採用されており、この暴力に満ちた白人至上主義者がどのように再生への道を歩むのか、期待が高まるところだ。
映画『SKIN/スキン』特報
https://youtu.be/URLDdColTnA