日時:9/17(月)
登壇者:箱田優子監督、SYO(映画ライター)
主演夏帆×箱田優子初監督作『ブルーアワーにぶっ飛ばす』が 10 月 11日(金)より、 テアトル新宿、ユーロスペースほか全国公開となる。砂田を演じるのは、清純派ヒロインからシリアスな役まで幅広く演じ、多くの映画ファンを魅了してきた演技派女優・夏帆。親友・清浦には、『サニー 永遠の仲間たち』『怪しい彼女』など韓国で圧倒的な人気を誇り、日本では現在大ヒット公開中の初主演作『新聞記者』(6/28 公開)や舞台にも出演するなど今大注目のシム・ウンギョンが扮する。9/17に、箱田優子監督と、”『ブルーアワーにぶっ飛ばす』が今年10本の指に入る”と大絶賛の映画ライターSYOを迎え、トークイベントが行われた。
箱田監督は「今回、日本では一般のお客さん向けの試写が初めてなので緊張しています。」と挨拶。“今年10本の指に入る”と豪語する SYO は、「映画を観た時に泣いてしまって、涙を観られるのが恥ずかしかったんです。少なからず皆さんもそうだと思うんですけど、理論武装をしている人はこの映画で鎧がはがれていく…ありのままでいいんだよと肯定してくれる作品って救われるんですよね」と映画の感想を述べた。
監督は、「この作品は、初監督で初脚本なので、やっぱり自分に近しく作ってしまった。TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2016 のコンペで初めて作った脚本なんですけど、その時は 33 歳で、主人公と近しい年齢。そして仕事もしていて、旦那もいて、友達もいて、仕事も頑張っている、明日食べるごはんに困っていないし、でも朝がくるととてつもなく寂しい。なにが寂しいかわからないんだけどね。人に言わせると“幸せ病かよ!”と言われそうですけど」と茶目っ気たっぷりに脚本を書いた時の想いを語った。
主人公の砂田を演じた夏帆とは、現在でも飲みに行く関係の監督。「映画と関係ない、人に言えなかったことを言おうという意味のない飲み会をやっていて、友達にも言えないことを腹を割って話したりしています。あ、内容は言えないんですけど(笑)」と話し、作品に対しては、「気になる点は人それぞれだと思うんですけど、なんとも言えない気持ちをどこにも消化することができなくて、じゃあ映画にしてしまおうと。だから主人公も微妙な立ち位置の映画になってしまったです。ヒーローは出てこないし、サスペンスでもない、ただの日常。でもそんな生きている間にドラマチックなことってないし、そこをもう少し表現できないかなと。こういう映画を作ってしまうと、人にどう思われるか考えててしまうんですけど、思いっきりさらけだした作品です。まさに全裸監督!(笑)」と言及。
SYO は、「今生きている人に届く、魂のような映画だから、泣けたのかも。箱田監督がさらけだしてくれたからこそ、幸せな映画だと感じたのかも」と話すと「幸せって斬新ですね、初めて言われました(笑)」と監督から突っ込みが。
砂田の“秘密の友だち”キヨ(清浦)に対しては、「皆さんキヨってなんなんだ?と思っていると思いますが、私はキヨの話をすると泣いてしまうんですよね。もちろん主人公は砂田なので、砂田を通してキヨを見て欲しいんですけど、自分にはない、自分から離れない、自分を好きでいてくれる人。ほんと“悲しすぎるだろう!”と思って」と泣きそうな表情を見せた。
キヨを演じたシム・ウンギョンについては「ウンギョンちゃんは本の読み込みが凄くて、生き死に関してもちゃんと把握していた。天才という言葉は安易に使いたくないけれど、悲しみが漂っているキヨを上手なさじ加減で演じていた」とべた褒め。SYO も「僕はこの作品を観て、『ロッキー』を思い出したんです。ロッキーもハッピーな映画だと思いきや違う。現実に立ち向かっていくというところが似ているんだと思うんです」と熱く語った。更に監督は砂田という人物について、「砂田のいいところは、止まらない、前に進むというところ。そして、攻撃的なセリフを言って自分で傷つく人間らしいところ」と評価。夏帆の起用については「皆さんの中に 10 代の頃の彼女のイメージがあると思いますが、いざ28歳になって、夏帆ちゃん自身がどう思っているのかというところを私が見てみたくて、ある意味、この映画は、半分夏帆ちゃんのドキュメンタリーだと思っているんです。その今の夏帆を撮ってみたいと思ったんですよね。」
最後に SYO は「何回も観るたびに設定を楽しめる映画。生の感情を楽しめる作品だと思います。何度も観て新しく発見してください。」とコメント。監督は「夏帆ちゃんは“地元に帰ってのロードムービーに私はすごく惹かれたんです”と言ってくれて。生きていると勝手に時間が過ぎていく、この映画は昨年の夏の段階の集大成なんだけど、来年、再来年だと、こんな作品になっていないだろうし、今は絶えず過ぎ去っているからこそ、なにができるのか、考える作品になってくれれば嬉しいです。」と話すと、和やかな雰囲気の中イベントは終了した。