2017年に公開された「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」は戦後の沖縄で米軍の圧政に真っ向から挑んだ一人の男・瀬長亀次郎の戦いの姿が描かれたが、今年、瀬長亀次郎の生涯と日本復帰直前の沖縄の激動の歴史を深く描く新作「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」が、8月17日(土)より沖縄・桜坂劇場にて先行公開、24日(土)より東京・ユーロスペースほかにて全国順次公開されることが決定した。
前作「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」が公開されると、カメジローの地元沖縄の桜坂劇場(那覇市)には猛暑にも関わらず何百メートルもの長蛇の列ができ、列に並んだおじいやおばあ達は「カメさんに会いに来た」と口々に話し、今もなお沖縄県民に寄り添い、ともに生きる彼の不屈の精神を感じさせられた。そして、そんな沖縄の熱気は、東京、大阪、名古屋、札幌、京都、神戸をはじめ全国に伝わり、大きなブームを巻き起こした。
そして、新作「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」では、カメジローが残した230冊を超える詳細に書き記された日記を読み解き、政治家としての一面だけでなく、妻や娘らと過ごす日常や、夫や父親としての様々な顔を描き、彼の不屈の精神の根底にあるものを浮かび上がらせる。また、前作では描かれなかった教公二法阻止闘争、毒ガス移送問題やコザ騒動、沖縄と核など、一瀉千里のように返還へ向けて進んでいく熱い闘いや、カメジローと当時の佐藤栄作首相の国会での迫力ある魂の論戦が12分間にわたり映し出され、沖縄の心、そして今なお解決されない事象の原点が浮き彫りにされる。
音楽は前作と同じく坂本龍一が担当し、「Sacco」に加え、新たに書きおろした曲「Gui」がカメジローの不屈の生涯を静かに熱く奏でる。また、語りとして参加するのは、日本映画界きっての名優・役所広司。彼の強くも優しさを秘めた語りが胸に響く。
<佐古忠彦監督のコメント>
前作「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」の公開から半年が経った2018年2月、私は、230冊以上に及ぶ瀬長亀次郎の日記に再び向き合い始めていた。いったん区切りを迎えたはずの取材だったが、まだまだ広く深いカメジローの世界から離れられないでいた。ずっと心に引っかかっていた、前作を鑑賞してくださったお客様の数々の言葉がある。
「家庭でのカメジローの顔を知りたい」、「どうして、こんなに不屈の精神を宿すに至ったのか?」
こういう声もあった。「かっこいいカメジローは分かった。かっこ悪いカメジローもみてみたい」つまり、闘う不屈の男だけでなく、まさに“人間”カメジローをもっと見たいということなのだろう。
前作でご覧いただいた、国会論戦で時の首相に激しくぶつかっていった亀次郎の姿に、多くの人が快哉を叫んだが、その魂の言葉を生みだした原点も日記に残されていた。亀次郎は、何のためにこれほど不屈に一本の道を歩み続けたのか。その先に何があったのか。沖縄の歴史と亀次郎の言葉が、その答えを導き出す。そして、それは、後世へのメッセージとなって語りかけてくる。