日時:4月10日(水)
場所:谷中霊園
登壇者:色川孝子(「麻雀放浪記」作者・阿佐田哲也 夫人)、白石和彌監督
映画『麻雀放浪記2020』が無事公開となった。主人公・坊や哲が1945年の【戦後】から、新たな戦争が起こった後の2020年の【戦後】に突然現れると、そこは、東京オリンピックが中止になり、マイナンバーがチップになり体に埋め込まれる管理社会、AIによる労働環境破壊など、坊や哲にとっては信じられない世界だった。坊や哲は、麻雀を武器にその〈世界〉に挑戦する!原案は、不朽の名作として、今なお読み継がれている阿佐田哲也の250万部を超えるベストセラー小説「麻雀放浪記」。戦後のアウトローを描いた傑作をリスペクトしつつ、新たなアンチヒーローの物語が生まれた!荒唐無稽に見える、この〈世界〉は、ブラックジョークなのか、もしかして〈現実〉なのか?!この度、原案小説の作者・阿佐田哲也さんの命日(30回忌)である4月10日(水)に、公開の、大ヒットの報告を行った。再映画化から立ちふさがったいくつもの困難の壁を乗り越え、遂に公開された本作。監督を務めた白石和彌が、阿佐田哲也氏の夫人である色川孝子様と一緒に墓前へ、雀卓を供え無事に公開を迎えたことを報告した。
●墓前で何を報告されましたか?
色川: とにかく麻雀というのが何十年前から廃れているんですよね。そんな中で監督がこのように企画を作ってくれて本当に感謝しています。
白石: 僕もまさか「麻雀放浪記」という作品に携われるなんて思っていなかったです。
●この映画をみてどのように思まれましたか?
色川: 若い人にすごく受ける作りでした。良く出来ていたと思う。いろんな賛否があると思うけど、おもしろかったです。
●もし阿佐田先生がご存命だったら、どうご覧になったと思われますか?
色川: 監督に会ったら、すごく若々しくて明るくいらっしゃるし、好きになるとおもいます。今いないことが残念ですね。仲良しになってお酒を飲みに行ったり、そういうフレンドリーなお付き合いが出来たかな、と思います。(もし『孤狼の血』を観ていたら)監督のことをすごく評価したと思いますよ。今回の『麻雀放浪記2020』はこれからどう広がっていくのがすごく楽しみですね。
監督: もしご存命だったら、そういうことができたらと思いますね。
色川: 対談をしたり、お酒飲みに行ったりしたと思いますね。ももちゃんが出てきたり、ベッキーさんが出てきたり。これからネットでどんな反応があるか楽しみです。
監督: 形はだいぶ変えてしまってはいますが、坊や哲は戦後から、架空の戦後に来ていて、その中でどういう生き様をしたら世の中を渡っていけるかということは描いたつもりです。なので、それは先生にもし観て頂けたら、面白がって頂けたんじゃないかと思います。
●脚本の第一稿を観て、なにかご意見などはございましたか?
色川: 初号試写は楽しみに見ました。プロデューサーからは「『孤狼の血』よりいいよ」と言われました。(笑)でも脚本を読んだ人からすると、全然違うものになっていると聞いて、でもそれはそれでいいじゃないですか。監督の個性が出れば。何しろ白石監督の才能ってすごいじゃないですか。本当にすごい方ですよね。
●斎藤工さんが10年寄り添って映画化に向けて、動き続けてきました。
色川: 最初お会いした時は、『明日泣く』という映画の打ち上げだったんです。その時に、大変好青年で、単なるイケメンではなく中身のある男だなと思いました。「麻雀放浪記」への熱意も伝わるし。ただ簡単に映画に出来るものではなく、苦労して挫折して、「もうできない!」と怒鳴ったりもして。10年すごかったですよ。(ちゃんと完成して、公開することができ)本当に良かったです。
監督: 工くんが、やりたいと言って、僕のところにお話をいただいて、こうして(色川)孝子さんとも出会えて、今日を迎えられて、感無量ですね。