日時:3月12日(火)
場所:テアトル新宿
登壇者:岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、今泉力哉監督
直木賞作家・角田光代のみずみずしくも濃密な片思い小説を“正解のない恋の形”を模索し続けてきた恋愛映画の旗手、今泉力哉監督が主演に岸井ゆきのを迎え、共演に成田凌、深川麻衣、若葉竜也、江口のりこなど、多彩な俳優陣が名を連ねて映画化した『愛がなんだ』が、4 月 19 日(金)より公開されることを記念し、3 月 12 日(火)に東京・テアトル新宿にて舞台挨拶付き完成披露試写会が開催された。主演の岸井ゆきの、共演の成田凌、深川麻衣、若葉竜也、今泉力哉監督が登壇した。
好きな男性を一途に追いかけるテルコ役の岸井は「完成して嬉しいという気持ち。脚本にはなかったモノローグも追加されていたり、編集で変わっている場面もあって、自分自身一つの映画を楽しんだような感じがあった」と作品完成に感慨無量。テルコが一方的に想いを寄せるマモル役の成田は、編集室の段階で本編を鑑賞したそうで「最近観た中で一番面白い映画。自分が出演しているのに客観的に観ることができたのは稀なこと。面白かった」と自信。テルコ唯一の親友・葉子役の深川は「感情移入して胸が苦しくなるシーンもあるけれど、恋愛に正解がない分、難しく考えずシンプルにしてくれる作品だった」とアピールし、葉子に惚れるナカハラ役の若葉は「音楽がつく前のものを観たので、完成形がどう変化するのか楽しみ」と公開に期待を込めた。
成田との本格的共演に岸井は「セリフを交わすのが初めてで不安もあったけれど、本読みの段階で夢中になれた」と一安心。原作を読んだ際にはテルコと自分の共通点を見つけられなかったというも「テルコの中からマモルを見ると、マモルのために仕事を辞めたり、友達を切ったり、その行動が正しく見えた。演じる上では“マモルが好き!”ということだけを柱にしていた」と回想した。役作りの一つとして、撮影中に岸井は成田と距離をとっていたというが、その成田は「それに気がつかず、僕はガンガン喋りかけていた。僕にとって岸井さん=テルちゃんなので、変な人だと解釈しています。まだ本当の岸井さんを知りません」と打ち明けると、岸井も「私も成田さんのことをあまり知らないので、これから知っていきましょうか!?」と不思議な空気感で場を和ませていた。
厄介なダメ男を演じるにあたり成田は「マモルの無意識にモテない要素を詰め込んで、普通にやったら嫌われるであろうギリギリの部分を凄く丁寧に演じた。一個も間違えられない緻密なお芝居でした」と熱演報告。監督にも秘密にしていたこだわりとして、テルコを車道側にして一緒に歩くという動作を挙げて「普段の僕だったら絶対にしない行動でモテない要素を作り上げた。そのほかにも口を開けてモノを食べるとか、腹立つ笑い方とか、相手がちょっとイラっとするような表現に気を配った」と細部へのこだわりを口にした。
自身の役柄について深川は「ナカハラ君を振り回したり強そうに見えるけれど、弱い部分も伝わればと思って演じた」と打ち明けると、振り回される側の若葉は「実は深川さんとは 1 時間くらいしか会っていない。だから事前にネットですごく調べました。そうしたら思いのほか上手くいった」と舞台裏告白。若葉は演じたナカハラに共感しきりで「僕は洗い物の手際もいいし、知らぬ間に打ち上げの幹事にもなっています」と尽くす男ぶり披露で笑わせた。
岸井と深川は NHK 朝ドラ「まんぷく」では姉妹役を演じているが、岸井は「映画の方が撮影は先だったけれど、ハードスケジュールであまり話す時間がなかった。『まんぷく』で一緒になってやっと会話できたという感じ」と明かし、深川もそれに「朝ドラの方が一緒に食事をしたり、話す時間があった」と同調すると、今泉監督は「それじゃまるで会っていない人たちで映画を作ったみたいになってるよ!」と苦笑いだった。
これまでオフビートな作品を手掛けてきた今泉監督は「角田さん原作の映画は面白いものが多いし、熱量の高い人たちのお話というのは自分にとってチャレンジだった」と新境地を意識したようだが「原作の角田さんが完成した映画を面白がってくれて、SNS でも感想を書いてくれた。自分で自分の原作を読み直したとも言ってくれて、そうやって原作者の方が面白がってくれたのは幸せ」と角田氏の人柄に感謝していた。
岸井は「個性的な恋愛をしている人々が出てきますが、必ず誰かに自分を投影することができるはず。人に言えないような部分で共感することもあると思うので、映画を観終わった後は隣の席の人と映画の話をしてほしい。それを含めて『愛がなんだ』だと思う。感想を共有しあってください」と思いを込めた。
最後のフォトセッションではマモルとテルコの劇中ラブラブシーンの一つ、肩にあごを載せる“肩トン”シーンを登壇キャスト 4 人で実際に披露!岸井ゆきのの肩に成田凌が、深川麻衣の肩に若葉竜也が肩をのせると会場からは歓声があがり、実演するキャストも大照れするなど、舞台挨拶会場は大盛り上りとなった。