日時:5月19日
場所:キネカ大森
登壇者:古舘寛治、二階堂ふみ、深田晃司監督
第69回カンヌ国際映画祭ある視点部門で審査員賞を『淵に立つ』で受賞し、今や世界の映画人が注目する深田晃司監督の最新作。深田監督は、2011 年の東日本大震災の後に大学の研究チームの震災復興リサーチに参加。そこで、2004 年にスマトラ島沖大震災で津波で壊滅的な被害を受けつつも、今では完全に復興を遂げた町バンダ・アチェを訪れて本作のアイデアを想起したという。自然は時に豊かに美しく、時に脅威となり人を飲み込み、また人間の生活は自然と共にあるという様を、インドネシアの美しい海、そして国籍や宗教を越えて育まれる若者たちの友情を通して描く、ファンタジー。深田晃司監督の最新作『海を駆ける』の公開に向け、深田晃司予習上映がキネカ大森にて行われた。上映作品は第35回ナント三大陸映画祭グランプリ・金の気球賞&若い審査員賞受賞し、第17回タリン・ブラックナイト映画祭最優秀監督賞受賞した『ほとりの朔子』(‘14年)と第69回カンヌ国際映画祭にて、「ある視点」部門の審査員賞を受賞した『淵に立つ』(’16年)の2作品が上映された。上映・イベント終わりは22時と遅いイベントにも関わらず、チケットは完売!!イベントでは、深田晃司作品代表として、『ほとりの朔子』から古舘寛治と二階堂ふみが登場。古舘は『淵に立つ』にも出演しており、当時の撮影秘話や監督の印象などを語った。監督は来週26日には新作『海を駆ける』が公開することもあり、その撮影についても語り、深田監督の作品にどっぷり浸れる濃密イベントとなった。
深田監督「まず、またスクリーンで上映して頂き、この二人と語れるのはとても嬉しいですね!この作品は2012年に撮影したのですが、前作の『歓待』を二階堂さんが雑誌のベストテンに選んでいただいて、その少し後に多摩映画祭でお会いし、一緒に映画が作れたらいいですねと、言っていたのがきっかけでしたね。」この作品に出演されていた古舘は二階堂の印象について、「二階堂さんは当時17歳で、今と変わらないのですが、若かったですね~大人びてきて感慨深いですね」と久々の再会に成長を感じたよう。対し、二階堂は「古舘さんは私が20歳になり、一緒にお酒を飲めるようになってからはそんなことなかったんですけど、当時は謎の多い人でしたね。お芝居を一緒にさせて頂き、先を意識しないで演技をしていて、普段の会話に近いような感覚で、素の反応が出来る不思議な感覚でした。」と、褒められ「良いですね!プライベートだと絶対言ってくれないから、皆さん(お客さん)がいるからですよ!」と少し恥ずかしそうな古舘。
監督の演出に対し、二階堂は「深田監督はどういう風に息をするか、川を自分の体をどういう風に使い吸収するか、どう演出するかロジックを教えて頂き、物理の授業のようでした。」と、古舘は「監督は当時は、みんなにどう言っていいのかみたいな感じはありましたが、いつの間にかそれを感じさせない“監督”になっていましたね。映画は監督の座組によって、色が全然変わってくるのですが、深田監督はとても穏やかですね。心地よくて、悪い意味ではなくてキャストみんなが生き生きして意見が言いやすい環境がありましたね。」との意見に監督は「やはりプレッシャーが強いと良いところや良い偶然が出にくいですよね、たまたまみんなと意見交換してて出てきたことを試す環境が楽しいですし、本作の中でもそういうシーンはありましたね。」と皆さんキャストが等身大で演じれたと監督の演出を語った。
【『淵に立つ』について】
本作で「ある視点」部門を受賞し、行ったカンヌについて聞かれ古舘は「まさか、自分が参加した作品が行くなんて、ずっと浮いているような感覚でしたね。でも財布無くしたり色々ありましたけど(笑)」と当時カンヌはホテル代が高いから基本相部屋だったそうで、「期間よりもう少し滞在したくて自腹でホテルとりましたよ!」と当時の様子を振り返っていた。
お客さんのQ&Aの時間になり、
【『ほとりの朔子』にはカラフルな衣装が印象深いですが、二階堂さんも衣装について思い出はありますか?】
二階堂は「衣装は荒木里江さんが入っていて、監督との打ち合わせで70年代っぽい衣装になっていましたね。あるシーンで私が黒いジャケットを着ているのですが、それ私物でして…(笑)と思わぬ裏話に監督も「そうそう、スタイリストさんも用意して頂いていたんですけど、ばたばたしていて、いつの間にかカメラが回っていましたね(笑)」
二階堂の劇衣装で、古舘も「チューブトップでホットパンツの衣装があり、気付いたらその衣装に変わっていて、びっくりして反射的に『ハダカじゃん!』って言ったら二階堂さんにめちゃくちゃ怒られましたね(笑)」
【深田監督の作品に数々出演される太賀さんについて】
深田監督は「昔作った映画で“たかし”という役を出して、そこから男性のキャラクターで“たかし”という名前が一番自分の中でベタでして、そこで太賀さんには毎回“たかし役”を演じてもらってますね。太賀さんに嫌と言われない限り、また“たかし”でお願いしたいですね」と、今までの太賀が出演した作品全て“たかし”という名前がついている裏話も話した。
【新作『海を駆ける』について】
深田監督は「日本人スタッフの中に、インドネシア人スタッフが入るのではなくて、日本人スタッフが入り新鮮でした。時間の切り分けがしっかりしていて、何時から何時は撮影で、と集中した良い雰囲気でしたね。お昼休みには、すごくリラックスしていて急に皆で歌い出していて、日本人に合わせてくれて“乾杯”で歌ってくれたのですが、全然日本人が歌詞が分からなくて携帯で調べたりして、“完敗”でしたね(笑)」
二階堂と古舘も『海を駆ける』是非、見たいですね!と観客ともども期待高まるイベントとなった。