韓国を代表する俳優ソル・ギョング主演『殺人者の記憶法』が1月27日(土)よりシネマート新宿ほかにて全国公開となる。この度、ソル・ギョングのインタビューが解禁となった。本作はアルツハイマーになった元連続殺人犯が新しい殺人犯の登場により、忘れていた過去の殺人の習慣が蘇り、2人の間で激しい死闘が繰り広げられる傑作クライムスリラー。主演のソル・ギョングは長年韓国映画界で活躍し、‘カメレオン俳優’と高く評価される演技派。本作では謎の殺人鬼から愛する娘を守るために封印していた‘殺人の衝動’を解放し、戦う’アルツハイマーの元連続殺人犯‘という異色の役どころ。そんなソル・ギョングに本作『殺人者の記憶法』について日本公開にあたりインタビューに答えてもらった。
Q:‘元連続殺人犯’という設定は、本来なら観客に共感を得づらいキャラクターだと思います。そんな主人公ビョンスに観客の気持ちがついてくるよう、気をつけたことや工夫したことはありますか?
ソル・ギョング:「本作『殺人者の記憶法』は殺人の話ではなく、記憶を失っていく一人の物悲しい人間に関する話だと思います。歳を取ればアルツハイマーに限らず誰でも自然に記憶力が低下していきます。連続殺人犯という設定は、一人の人間が記憶を失っていくというストーリーを語るため与えられたものに過ぎないと考え、演じる際も“記憶”により重きを置きました。その点では、観客の方々も十分に共感してストーリーを追えるのではないかと思います。焦点を“記憶”に合わせてもらえると、より楽しんで見ていただけるのではないでしょうか。」
Q:演じていて最もやりがいのあったシーン、気に入っているシーンはどこですか?
ソル・ギョング:「本作は最初から演じるのが難しいだろうと予想して取り組みました。観客を混乱させることがこの映画のポイントであるため、「今この場面は主人公ビョンスが記憶を失っている状態か、そうでないか」といった考え自体をせず、ただ状況に集中しながら、監督がうまくまとめてくれるだろうと信じて取り組みました。大変だったことは、ビョンスの年齢が50代後半から60代前半という設定だったため、外見上、より老いて見えるようにするため、食事調整と運動を並行しながら10kg以上体重を落としました。特殊メイクでは役に入り込めないだろうと思い、監督には最大限メイクは減らして私自身が老いるという意思を伝えましたね。その日から炭水化物をやめ、運動を必死にやりました。冬の撮影だったため、宿の中で縄跳びを一生懸命やった思い出があります。私の好きなシーンは最初と最後の場面ですので、ぜひ最後まで集中して見ていただけたらと思います。」
Q:日本でも、ソル・ギョングさんの多彩な役柄の映画が公開されてきました。出演を決めるとき、大事にしているポイントはありますか?
ソル・ギョング:「作品を選ぶ最初の基準は、昔も今も人です。ただし今はその見方が少し変わったかもしれませんね。最近は与えられたキャラクターの“顔”に関心がいくようになりました。以前は外見的な部分をどうやって作るかという悩みが最初でしたが、自分の顔の作りを変化させるのには限界があります。シナリオを読みながら、このキャラクターはどんな人生を生きてどんな顔を持っているのかが気になるようになってきましたね。映画とは結局、スタッフたちと共に1つの顔を作っていく作業ではないかと思います。だから最近は強烈なキャラクターに惹かれる傾向にあるような気もします。特にこういった役がやりたいということよりも、これからも顔が気になるキャラクターに出会いたいですね。私の中に潜むいくつもの興味深い顔の数々を発見していく過程は、本当に面白いです。」
また、昨日1月23日(火)は一般試写会後にソル・ギョングの大ファンと公言する雑誌「映画秘宝」編集&ライターのギンティ小林氏によるトークイベントを開催。本作の主演ソル・ギョングについて「ソル・ギョングの魅力は一見すると表情が乏しそうに見えますが、劇中で追い込まれる場面の喜怒哀楽を越えた表情、人間の表情の限界を常に越えていくところですね。ソル・ギョングの顔面演技はスクリーンで観てこそだと思います。僕は彼の新しい表情を観れるたびに幸せな気持ちになります。本作の演技は、新しいソル・ギョングに到達した‘ニューギョング’ですね。(笑)」と『殺人者の記憶法』に激オシ。また、ウォン・シニョン監督の演出についても「監督はCGを使いたがらないリアル志向の方なので実際に撮影した主人公が事故にあう車の横転シーンや物語後半のアクションシーンなどにも注目してほしい」と語った。そして、今回敵役を演じたキム・ナムギルについても「14キロの増量でうまくギョングと対比ができていましたね。ふくよかなぬめっとした、なんか話の通じない奴という不気味な雰囲気を醸し出していますよね」と絶賛した。最後に本作をハリウッドでリメイクするなら誰が良いかという質問に「リメイクはありえませんね。本作はソル・ギョングのソル・ギョングによるスーパーギョングムービーですから!」と締めくくりソル・ギョング愛を炸裂させていた。