日時:11月25日(土)
場所:角川シネマ新宿
登壇者:森口彩乃、佐々木心音、山田愛奈、瀬々敬久監督
AV女優・紗倉まなによる文芸小説を『64-ロクヨン-』(16)の瀬々敬久監督が完全映画化して話題の映画 『最低。』が、11月25日(土)より角川シネマ新宿ほかにて全国順次公開となった。公開初日舞台挨拶に瀬々敬久監督、森口彩乃、佐々木心音、山田愛奈が登場した。本作は“アダルトビデオ”と関わりを持ってしまった3人の女性たちを描いた物語。果てしなく続く日常に耐えきれず、新しい世界の扉を開く平凡な主婦・美穂(森口彩乃)。 家族から逃げるように上京しAV女優として多忙な生活を送る彩乃(佐々木心音)。自由奔放な母親に振り回される女子高生、あやこ(山田愛奈)。運命に翻弄されながら自分らしく生きようとする女性たちの姿を力強く、時に繊細に描き出し、今いる場所から一歩踏み出す勇気をくれる映画となっている。
11月25日(土)、角川シネマ新宿にて、映画『最低。』の舞台挨拶が行われた。登壇者は森口彩乃、佐々木心音、山田愛奈の3人の主演女優と瀬々敬久監督の4人。平凡な主婦でありながらAVの世界へ足を踏み入れる美穂役を演じた森口は、大胆なシーンに挑戦した感想を問われ、「原作を読んで、女性の居場所や自信を探し求める姿にすごく共感しました。私自身が身をもってそれを表現したことで、誰かの勇気につながってくれると嬉しいです。今私の持てる全てをこの作品に捧げようと思って演じました」と返答。
人気AV女優の彩乃役を演じた佐々木は、「私は今まで逆に脱ぎ倒して、脱ぐことには全く抵抗ないんです」とコメント。瀬々監督に「親泣いてないか?」と突っ込まれると、「今日は家族や親せきもいっぱいきてくれてるんです。そうやってちゃんと観てくれることが嬉しい」と喜びを伝えた。また「(AV女優役は)偏見を持たれてしまうような役かもしれませんが、普通の女の子でいられるように、ドスの利いた声は抑えたりとか、そういうことを常に考えながら演じました」と役作りについて答えた。
また元AV女優の母親を持つ高校生、あやこ役を演じた山田は、今回が初の演技体験に関わらず、瀬々作品の主演だったことの感想を問われ、「映画の現場自体がはじめてで、どんな状況かさえも分からない中、監督の温かくも厳しいご指導のおかげで、なんとか最後まで演じきれました。とてもいい女優としてのスタートが切れました」と満足そうな笑顔を浮かべた。
3人の印象を聞かれた瀬々監督は「森口さんは、佐々木さん演じた彩乃の役でオーディションに来ましたが、清楚な感じが美穂役にぴったりだったのでこちらを演じてもらいました。その彩乃役はなかなかいい人が見つからず、仕方なく佐々木さんにオファーしました」と冗談を交えながらも、「嘘です、安定の佐々木心音さんにぜひとご指名しました」とすぐに訂正。また山田については「オーディションのときから泣いたりすごくパワフルでした。わざわざ新潟からきてくれたんです。山田はすごいです」と上機嫌で新人女優を讃えた。
またタイトルにちなみ、今までもっとも「最低」だったことを問われ、森口は「学生のとき胸ポケットに入れておいた携帯を何度もトイレに落したこと」、山田は「(本作の)オーディションのときに大遅刻をしてしまったこと」、佐々木は「家でひとりで飲んで、ひとりで吐いたこと」を挙げた。瀬々監督は「今日公開初日なのに二日酔いの状態なのが最低」と答えて笑わせつつ、「大島渚監督の“わいせつ何故悪い”じゃないが、AVに出演することや人前で裸をさらして撮影することは悪いことなのか。そういう社会通念をとっぱらって自由に生きたい、自分たちの“生”を確認したいと思う女性を描いた映画です。これは普通の人々にもつながることなので、ぜひ多くの人に観てもらいたい」とアピールした。