映画『二度めの夏、二度と会えない君』村上虹郎インタビュー

映画『二度めの夏、二度と会えない君』村上虹郎インタビュー
提供:シネマクエスト

赤城大空の同名ライトノベルを『恋する歯車』の中西健二監督が映画化した『二度めの夏、二度と会えない君』。
死を前にした大好きな女の子・燐の夢を叶えるため、タイムリープして文化祭でのライブを成功させようと奮闘する高校生の姿を描いている。この物語で主人公の智(さとし)を演じているのが、村上虹郎だ。バンドのギタリスト役ということで、劇中で見事なギタープレイも披露してみせた。さまざまな映像作品に意欲的に出演し、俳優として目覚ましい活躍をみせている村上虹郎に話を聞いた。

この映画のオファーが来た時はどのように思いましたか?

■村上虹郎:ものすごくピュアな話だと思いました。出てくる人たちがみんな不器用なんです。原作がライトノベルなのですが、この作品には少年マンガ感と少女マンガ感の両方を感じるんです。

一途なラブストーリーの要素と、バンドメンバーたちの友情物語のような要素がありますね。

■村上虹郎:それに一つの目的のためにメンバーを集めてチームを結成していくというところが、ロールプレイングゲームのようにも感じました。僕はバンドを組んだことがないのですが、バンドメンバーが集まるって本当に奇跡だと思います。

撮影現場の雰囲気はどうでしたか?

■村上虹郎:今回、全体的に女性が多い現場だったので、人見知りしていました。女性の割合が多い現場が初めてだったので、どちらかというとスタッフさんと話す方が多かったです。

実際にバンドで演奏をされているということですが、練習はどのくらいされたんですか?

■村上虹郎:全体揃っての練習は、2回くらいですかね。あとはそれぞれに練習をしていたという感じです。ベース担当の山田裕貴くんとドラム担当の金城茉奈さんは3か月ほど練習していたそうなのですが、実際に音を聞いたらホントにうまくてびっくりしました。金城さんなんて、あんなに華奢な体からパワフルな音を出すので、ホントにすごいなと思いました。

撮影していていちばん楽しかったシーンはどこになりますか?

■村上虹郎:やっぱりライブのシーンです。今回の智役は反省ばっかりしている役なのですが、ライブシーンではあまり悩まずに済むし純粋に楽しむことができる。一番最初に僕と燐役の吉田円佳さんと二人だけで、ダサいグラサンをかけて演奏するシーンも好きです。こけるシーンだったのですが、痛かったなー(笑)

演奏シーンでは、みなさん実際に演奏されてらっしゃるんですよね?

■村上虹郎:そうなんです。吹き替え一切なし!特に、映画のクランクアップが学園祭のライブシーンだったので、やりきった感がありました。観客役のエキストラさんたちも大盛り上がりで、まるでライブハウスみたいでした。

今回は役柄でギタリストを演じていましたが、音楽の道に進もうと考えたことはありましたか?

■村上虹郎:音楽は大好きですし、そういう気持ちもなくはなかったのですが。音楽にはそんなに夢中にならず、映画作りのほうに惚れた部分が強かったんだと思います。とはいえ、お芝居が楽しくなってきたのは最近なのですが。最初はスタッフのいる前で演技をするのも恥ずかしかったのですが、舞台に出演させていただいて、変わってきました。

役者さんは舞台を経験すると大きく成長すると言いますよね。

■村上虹郎:舞台を経験したことで成長したという実感はあります。お客さまがその場にいる緊張感や、何回も何回も同じ演技するということで鍛えられた気はします。そして、稽古に共演者全員がいるという部分も大きかったです。俳優さんの演技を間近でみることができますし、例えば麿赤兒さんと1か月間、同じ楽屋で過ごして、いろいろな話ができたりするんです。そんな環境の中で、成長させていただきました(笑)。

今、いろいろな監督から招かれて多くの作品に出ていらっしゃいますが、ご自身の俳優としての魅力はどこにあると思われますか?

■村上虹郎:「僕が僕であること」でしょうか。他の方の演技を見て学ぶ、盗むということはありますが、人の真似をしてもそれは結局、他人であって僕ではない。

唯一無二の存在ということですか?

■村上虹郎:そんな存在になりたいですね。

役者としてのあり方というようなものは、やはり俳優のお父さまからの影響などもありますか?

■村上虹郎:そうですね。父親(村上淳)が俳優で母親(UA)が歌手なので、二人から学ぶ部分は大きいです。

お芝居の魅力というのはどういう点にあると思いますか?

■村上虹郎:恥をさらけ出す、というところではないでしょうか。自分をさらけ出してお芝居に入っていくという。それに、ある意味“究極の思い出づくり”とも言えると思います。一つの役をどう研ぎ澄ましていくか、どう身や心を削って作っていくか。その結果が作品として残るんだと思います。

作品に出演してみたい監督さんはいらっしゃいますか?

■村上虹郎:それはもういっぱいいます!『ディストラクション・ベイビーズ』の真利子哲也監督とはもう一回ご一緒したいです。他にも、沖田修一監督ともご一緒したいですね…。海外の監督さんで言うと、ジム・ジャームッシュの作品が大好きなので出てみたいです。

では、演じる上でいつも一番大事にしていることはなんでしょうか?

■村上虹郎:一番大切にしていること…、難しいですね…。でも、自分が見たいものは何か、というところでしょうか。自分を一視聴者として捉えるようにしています。もしかしたら独りよがりになる可能性もありますが。ロバート・デ・ニーロの言葉を借りると「より個人的であること」ということ。普遍的であるもの、万人受するものもあるとは思いますが、それを表現するには腕や技術が必要ですよね。やはり、個人的であること、というのが自分らしさに繋がるのではないかと思うんです。

インタビュー会場にふらりと下駄履きで現れた村上虹郎。気取らない態度で今思っていることを率直に語ってくれた。村上淳、UAを両親に持つ彼だが、その言葉の一つひとつからは“親の七光り”ではない、俳優としての覚悟や強い思いのようなものを感じることができた。1997年生まれ、20歳という若さながらも、俳優としてのあり方をすでに確立しているようだ。メジャー作品、インディー作品の垣根を越えて、これからの日本映画界を代表する俳優の一人となるだろう。

【取材・文】松村 知恵美

最終更新日
2017-09-04 16:05:04
提供
シネマクエスト(引用元

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