約10年ぶりに映画監督へカムバック!『ビニー/信じる男』ベン・ヤンガー監督インタビュー

約10年ぶりに映画監督へカムバック!『ビニー/信じる男』ベン・ヤンガー監督インタビュー
提供:シネマクエスト

マイルズ・テラーが、実在する伝説のボクサーを演じた『ビニー/信じる男』が7月21日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開となる。世界チャンピオンに輝いた直後に交通事故で瀕死の重傷を負い、歩けるようになることも不可能と言われる中で自分を信じてトレーニングを重ね、頂点へのカムバックを目指した伝説のボクサー、ビニー・パジェンサ。その衝撃の実話を巨匠マーティン・スコセッシ製作総指揮で映画化し、主人公ビニー役をマイルズ・テラーが徹底した役作りと、『セッション』を越える狂気で熱演。そしてマイク・タイソンを世界チャンピオンに押し上げた経歴を持つビニーのトレーナー、ケビン・ルーニー役を『ハドソン川の奇跡』のアーロン・エッカートがガラリと風貌を変えて挑み、世界最強のタッグで観る者の魂を震わせる熱い映画が完成した。本作の監督、ベン・ヤンガーインタビューが到着した。

前作『マネー・ゲーム』から約10年ぶりに映画監督を務めたベン・ヤンガー。パイロットのライセンスを持ち、プロのオートバイ・レーサーである彼は、本作の撮影の直前にはコスタリカでシェフをしていたという異色の経歴の持ち主である。そんな彼は本作で監督を務めたほか、脚本も担当し、執筆にあたり「難しい体験だったとは、決して言わないね。話自体がすごいから。あの事故の前にも勝敗のドラマがあり、事故の後にもまたそれがある。脚本にする上で、すばらしい素材が揃っていた。僕が重視したのは、ロードアイランドの人々の生の生活を反映させること。彼や彼の家族を、リアルに描くことだ。」と語ります。そのためにニューヨークからビニーのもとに訪れた監督は、「僕はビニーとたっぷり時間を過ごしたよ。彼はまだ今もあの街に住んでいるんだよ。ボクサーにしてはとんでもなく優れた記憶力をもっている人だ。詳細にわたるまでいろんなことを覚えている。」と振り返り、「彼に会ってみると、たしかにすごい集中力がある人だなとは思うが、職業のために一生障害者になる危険をおかすような人とは感じさせないんだよ。僕はこの仕事が好きだが、『次の映画を監督したら君は一生車椅子の生活になります』と言われたとしたら、僕は別の仕事を探すよ。しかし当時の彼は、『これが僕のやることだ。どうなったとしても僕はこのリスクを負う』と言うんだ。だからこの映画はパワフルなんだ!」と通常では考えられないビニーの選択こそが、本作に力強さを与えたと語る。

ボクシング映画につきもののボクサーとトレーナーの絆。数々の名作の中でも本作では特に印象的にその絆が描かれていることについて「たしかにあのふたりの関係は特に親密だったと思うよ。ケビンはロードアイランドに引っ越して、彼らの家に同居したんだよ。そういうのは稀だ。そしてケビンは彼の家族ともとても近しくなった。それも、そんなにあることではない。そこには、彼らが両方ともダメだと言われたからというのがあると思う。ビニーはもうダメだと言われたところだったし、ケビンはマイク・タイソンからクビにされたところだった。そんな状態で彼らは出会い、最後のチャンスに賭けた。」とビニーとケビンの関係について説明する。「残念ながらケビンはここ何年も認知症で施設にいる。何も覚えていない。彼の息子はこの映画にすごく協力してくれたよ。ケビン・Jr.だ。とても良い人だ。」というエピソードを明かした。

また、マイルズ・テラーがボクサーを演じるという、意外なキャスティングについて「彼はインタビューでよく僕がチャンスを与えてくれたと語っている。僕がリスクを負ってくれたと。僕にとってはリスクではなかった。彼にはできると、僕は思っていた。『Spectacular Now』を見た?僕はあの映画が大好きなんだ。あれの中の彼を良いと思ったし、彼が典型的なハンサム男じゃないところも気に入った。この役に、典型的ハンサム主演男優系は、似合わない。ビニーの住む街は、かなり強烈なブルーカラーの街なんだよ。」と撮影当初よりマイルズに信頼を寄せており、「僕が気にしたのは、リアルに見せることだけだった。過去のボクシング映画には、3,000万ドルとか4,000万ドルを使っていて、美しい映像だけれども、パンチにリアル感がない、というのがよくあった。『実際には殴っていないだろう?』と思えるようなものが。僕が気にしたのはそこだ。すべてのパンチを、リアルな感触があり、リアルな音がするものにしたかった。パンチが4回くらい続いてリアルな音がする時、観客は息を飲む。」とボクシングシーンの撮影にはかなりのこだわりを見せたとのこと。

最後に本作のメッセージについて「何か問題が起こって、その問題は乗り越えるに大きすぎると思ったとしても、たぶん、それはそこまで大きくはないということ。人の死が関わるなら別だよ。でも、仕事上の問題とか、恋愛とか、怪我をしたとか、そういうことなら、たぶん乗り越えられる。この映画は、そのことをとてもビジュアルでフィジカルな形で語ってくれる。彼は、あの大きな鉄をかぶって何ヶ月も過ごすことすらしたんだよ。」とビニーの前人未踏の挑戦を称えながら、映画に込めた熱い思いを語った。

最終更新日
2017-06-23 12:00:40
提供
シネマクエスト(引用元

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