日時:5月20日(土)
場所:新宿ピカデリー スクリーン1
登壇者:櫻井孝宏、早見沙織、洲崎綾、瀬下寛之、吉平“Tady”直弘
談社『アフタヌーン』にて1997年から2003年に連載され、『シドニアの騎士』で第39回講談社漫画賞を受賞した弐瓶勉氏のデビュー作『BLAME!』。20年の年月を経てついに映像化された劇場アニメ『BLAME!』が公開となった。公開を記念し、5月20日(土)、新宿ピカデリーにて櫻井孝宏(霧亥役)、早見沙織(サナカン役)、洲崎綾(タエ役)、瀬下寛之(監督)、吉平“Tady”直弘(副監督)らを迎え、初日舞台挨拶が行われた。満席の客席を前に初日の喜び溢れた登壇者たちの楽しいトークがいっそう会場を盛り上げる中、突如セーフガード「駆除系」が大挙襲撃!ネット端末遺伝子を持たない観客たちが「排除」されそうになるという危機も…ドキドキのイベントとなった。
■櫻井孝宏(霧亥役)コメント
無事に公開を迎えることができて嬉しいです。本当にその一言に尽きます。どういう映像になるか? ずっと完成を楽しみにしてましたが、ようやく大きなスクリーンで見られる時が来て、しかもこれだけ多くの方に足を運んでいただき、ご覧いただけてニヤニヤ笑みがこぼれます(笑)。
――プレスコで、映像制作前の画がない状態で音声を収録して。
行動やアクションを伴うシーンは、みんなでディスカッションしながら作りました。走っているならどんなペースでどんな気持ちなのか? 止まって振り返るなら何歩で止まるのか? みんなで話しながら、ト書きを頼りに、両監督からの指示を聞きながらやっていました。
――作品の魅力
「ハードSF」という言葉に対し、縁遠い、とっつきにくいイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、そこにこそ、この作品の面白さあると思います。人間ドラマも描かれていて、クールな冷たい世界で生きている人々のドラマでもあり、ぬくもりや体温がちゃんと伝わると思います。CGアニメーション映画の面白さが詰まった作品になっています。
■早見沙織(サナカン役)コメント
――公開を迎えて
(櫻井と同様に)私もニヤニヤしてます(笑)。「BLAME!」って劇場の大きなスクリーンで、大迫力と素敵な音で見ていただくのにピッタリの作品だと思います。どのように感じていただけるか? ニヤニヤドキドキしてます。
――プレスコで、映像制作前の画がない状態で音声を収録して。
セリフがひとつで、ト書きがバーッと書かれているのが4ページ続いたりとかもありました(笑)。プレスコだと会話のテンポ、雰囲気が大事で、その場の空気感でしか生まれないものが出てくるけど、サナカンは難しいセリフが多いし、テンポよく掛け合うキャラじゃないんですね。逆に、ひとりの空間を確立することに意識を向けていました。
――女性の視点で霧亥をどう見たか?
私(サナカン)は、霧亥とは拳で語り合ってるんです。きっとですが、わりと無口な人って、モノローグでいっぱい考えてるんだと思いました。(無口な姿に)想像力かきたてられます。
――作品の魅力について
サナカンという役に臨んだ時、それまで無機質だと思ってたんですが、演じれば演じるほど、生命を感じ、有機的なもの感じる瞬間がありました。「こんなところも!?」という部分、0.0001秒のコマまで愛情込めて作られている作品です!
■洲崎綾(タエ役)コメント
――公開を迎えて
(櫻井が)隣でニヤニヤしてるけど、私は内心でニヤニヤしてます。これだけ多くの方が来てくださってホッとしちゃいます。期待以上のものがギュッと詰まってる作品になっていると思います!
――プレスコで、映像制作前の画がない状態で音声を収録して。
画がない分、距離感を掴むため、通常よりも耳を大きくして、他の役者さんの声を注意深く聞くようにしていました。
――女性目線で本作の見どころ
全部ですが、SFを見るのが初めての方もいらっしゃいますか? SFをあまり見たことなくても入りやすい作品になっていると思います。物語も難しくなくシンプルで、でも動きがカッコよく、映像と音響が迫力あって、間口の広い作品です。カッコイイ役も多いです。主人公があんまりしゃべんないけど(笑)、人情味あふれる作品だと思います。
――無口な主人公・霧亥について。
霧亥が無口な分、音楽がすごくカッコよくて、劇伴がしゃべってくれてると思います。
――作品について
アフレコの台本でさえ、たくさんのト書きがあり、状況がしっかりと書き込まれていたので、おそらく映像には、さらに膨大な量の解釈があり、スタッフさんの意識の共有があって、今日という日を迎えられたんだなと思います。映像も音響も最高峰と思いながら完成した映画を見てました。期待以上のものをご覧いただけると思います!
■吉平“Tady”直弘副監督コメント
――公開を迎えて
スタッフの情熱が詰まった作品をやっとお披露目できるのが嬉しくドキドキしてます。
――プレスこの模様を見て
(声を聴きながら)目を閉じると(画がなくとも)キャラクターが動いてて、興奮しました。
――音響効果のすごさについて
スクリーンに映ってないところに関しても、後ろから音が聞こえてきます。
――作品について
『マッドマックス』のような爽快で派手なアクションもあり、普遍性を持った人間ドラマでもあると思います!
■瀬下寛之監督コメント
――公開を迎えて。またフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭 2017、デンマークのヴィボー・アニメーションフェスティバル 2017など海外の映画祭への招待について
名誉どころの騒ぎじゃないです! ありがたくて、まだ受け止めきれていません。夢かも(笑)。メンタルが弱いので、(海外での評価は)あまり考えず…。今日、来てくださってるお客様に少しでも楽しんでいただけたらと思っています。「がっかりされたら…?」と昨日は眠れなかったんです。
――プレスコの様子について
舞台演劇のリハーサルのようでしたね。サナカン役の早見さんは役への入り込み方がすごくて、場面を完全に支配してました! 見ていただくと、目に焼き付くと思います。
――無口な主人公・霧亥について
霧亥はずっと喋っていないんです、おそらく数百年くらい…。だから「この単語でよかったのか?」という感じで演技してもらっています。(言葉に出さないけど)頭の中の吹き出しはきっと多いんですよね。
――音楽の素晴らしさについて
主人公は喋んないし、他のみんなはスタンドプレーばかり(笑)。音楽がみんなの感情をつないでると思います。
――駆除系の造形について
友達になれない感じを意識しました。対話不能な感じ(笑)。リスやネズミといった哺乳類ではなく虫のような感じを意識しました。
――作品について
スタッフがみんな、前のめりになって大事に作った作品です、ぜひ何度も繰り返し“体験”していただければ嬉しいです。
※舞台挨拶の最後に、早見が「ちょっと待った! 私はサナカン。お前たち、ネット端末遺伝子を持たない人間を排除する!」と宣言すると、約20匹の駆除系が登場し、会場は盛り上がりを見せた。