日時:2月4日(土)
登壇者:山下敦弘監督、松江哲明監督
第68回カンヌ国際映画祭 監督賞受賞作品『エリザのために』が1月28日(土)より絶賛公開中。本作のクリスティアン・ムンジウ監督がカンヌ国際映画祭3度受賞していることにちなみ、この度、カンヌ最高賞パルムドールを受賞すべく奔走する話題の番組「山田孝之のカンヌ映画祭」(テレビ東京 毎週金 0:52~)の山下敦弘監督、松江哲明監督をゲストに迎え、イベントを開催された。
最愛の娘を守ろうとする父親の緊張感みなぎる5日間を描いた『エリザのために』。本作のクリスティアン・ムンジウ監督がカンヌ国際映画祭で3度受賞していることにちなみ、カンヌ最高賞パルムドールを受賞すべく奔走する話題の番組「山田孝之のカンヌ映画祭」(テレビ東京)の山下敦弘監督、松江哲明監督をゲスト迎え、本作やカンヌ映画祭、そして番組について語ってもらった。まず本作『エリザのために』を観た感想について山下監督は、「‘山田孝之のカンヌ映画祭’の主題歌にムンジウ監督の『4ヶ月、3週と2日』という歌詞が出てきていて、タイトルは知っていましたが監督の作品を観るのは初めてだったので、『エリザのために』を観て色々勉強になりました」とコメント。松江監督は、「昨年の夏に番組の為にカンヌ映画祭について色々リサーチしていました。本作はある種の‘カンヌに好かれる’映画で観たときに、これか!とズバッとハマりましたね」と語った。
また、本作の撮影や演出方法について山下監督は、「ダルデンヌ兄弟のように同じ場所で撮影のリハーサルを行ったり、とても自然にルーマニアの人達の生活を描いているように見えて緻密に考えられている部分があったりと非常に丁寧な演出でしたね」と絶賛。松江監督も「フレームの外を常に意識させ、映っていないところから何か事件が起きる、不穏なことが起こるという緊張感を入れてくる部分や、カメラが1ショットでなるべく撮影するようにしていて、お客さんを飽きさせないように現実感を出している部分もがカンヌ受賞作品っぽいですね」と語った。
また、番組にプロデューサーとして出演する山田孝之については、「あの番組に関しては‘山田組’という感じですね。山田君は‘勘’がすごく良いです。たまたまカンヌの事務局に行ったら映画祭のスタッフに会えるとか、とんでもない奇跡が起きるんです。良い偶然を呼ぶ人というか、カメラが回っているときに奇跡を起こせない人もいるので、そういう意味では山田君は‘引き寄せる力を持っている’人ですね」と絶賛。
また、カンヌでパルムドールを獲得するために必要なことは?という質問に山下監督は、「‘魂’や‘想い’というか、これしか出来ない!という監督の想いがないと響かないんだなと思いますね」 「あとやはりカンヌへのコネクションも大事だなと」と話し、カンヌで注目された本作の魅力について松江監督は「『エリザのために』には作品の中に‘怒り’があると感じました。主人公が不正と距離をとりながらも娘を守らなければならなくなった時に、その不正にどんどん加担していってしまう。完璧な良い人が一人もいない、綺麗事ばかりじゃない世の中で最後に何が残るのかという託し方やあのエンディングの音楽の使い方なども勇気がある演出ですね」と語った。
最後に今年第70回を迎えるカンヌ映画祭にエントリーする予定は?との質問に山下監督は、「そのために今やっています(笑)目標として掲げていますので」とコメント。そして松江監督も「あの番組を冗談だと思って観ている人もいますが、皆さん今年の5月がカンヌ映画祭で、誰でも応募できることを忘れていませんか?と言いたいです。後半の番組の展開に関わるのであまり多くは語れませんが、冗談でやってるわけではないです」とカンヌ映画祭出品への大いなる意気込みを見せた。