日時:12月23日
場所:TOHO シネマズ シャンテ
登壇者:ロバート・グラスパー(ジャズピアニスト)
『ホテル・ルワンダ』(04)でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた実力演技派俳優、ドン・チードルが監督、主演、脚本、製作を務め『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の 5 年間』が 12月23 日(祝・金)に初日を迎えた。2 度のグラミー賞に輝き、今年のフジロックでは圧倒的なパフォーマンスでオーディエンスを魅了。ジャズ~ヒップホップ~R&B をつなぐ稀代の才人ロバート・グラスパーが、ブルーノート東京でアコースティック・トリオで公演を終え、急遽初日舞台挨拶に駆けつけ登壇した。
昨夜まで行っていたブルーノート東京での来日公演はいかがでしたか?
「とっても素晴らしい演奏ができたよ!(日本語で)キモチイイ!」
本作に参加した経緯について
「この作品の監督・主演であるドン・チードルが、個人的に『君の音楽が好きだ』と Twitter で連絡をくれたんだ。そこから共通の知り合いだったヴィンス・ウィルバーン・Jr.(マイルス・デイヴィスの甥であり本作のプロデューサー)が繋いでくれて、正式にこの映画の音楽をやらないかとドンからオファーをもらった。ドンとヴィンスは、マイルスと一緒に演奏をしていたハービー・ハンコック(ジャズピアニスト)に僕がマイルスのこの作品に加わることをどう思うかと聞いていたんだが、ハービーは『彼ならいい仕事をするだろう』と僕のことを褒めてくれたみたいなんだ。とても嬉しかった。」
サウンドトラックを作る際に心掛けたことは?
「最初はマイルスの音楽を担当することは、とてもプレッシャーを感じたし、怖かった。いろいろ悩んでいたんだけど、ドンがマイルスの音楽要素に、僕自身の要素も加えてほしいと言ってくれたんだ。マイルスは、ジャズミュージックの垣根を越えて時代を象徴した音楽を作った人として知られている。だから僕は、そこに少し〝未来“を意識したエッセンスを取り入れてレコーディングに挑んだよ」
”ジャズの帝王”マイルス・デイヴィスとは
「僕にとってマイルス・デイヴィスはひとりの素晴らしいトランペット奏者、というのではなく、〝アイディア“そのものなんだ。自由、恐れない心、進化、前進…あらゆるアイディアをくれるんだよ。偉大なミュージシャンだね。」
日本の観客へメッセージ
「映画の一番の見どころは、ラストのセッションシーン。なんてったって僕が出演しているんだからね!(笑)というのは冗談で、本当にこの映画自体とても素晴らしい作品となっているから、オープンマインド(自由な発想)を持って観てほしい。マイルス・デイヴィスは普通の人ではない。だから普通の映画だと甘く見てちゃいけないよ。覚悟してね!」
初回に駆けつけた観客でほぼ満席の場内で観客含め皆で行われたフォトセッションでは、おどけた表情やキメキメのポーズをとるなど、フランクな人柄で楽しませてくれたグラスパー。マイルス・デイヴィスの生誕90年、没後25年のマイルスのメモリアル・イヤーとして2016年は、彼に捧げるトリビュートアルバム「エブリシングス・ビューティフル」、その他ロバート・グラスパー・エクスペリメント名義で「アートサイエンス」を発表。マイルスの意志を引き継ぎ、新世代のジャズシーンを牽引するグラスパーは連日のライブ公演の疲れを見せることなく、笑顔で締めくくった。