『こころに剣士を』クラウス・ハロ監督 インタビュー

『こころに剣士を』クラウス・ハロ監督 インタビュー
提供:シネマクエスト

エストニアを舞台に伝説のフェンシング選手と子供たちの絆を描く“実話から生まれた”感動作『こころに剣士を』が2016年12月24日より ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開となる。監督のクラウス・ハロ オフィシャルインタビュー。

■アナ・ヘイマーの脚本が素晴らしかったから監督を引き受けたとお聞きしました。この物語を読んだいちばん始めの印象を教えて下さい。

まず初めに「1950年代のエストニアの話を読んでみないか。」とプロデユーサーに言われた時に、絶対に気に入らないと思ったので、読む気にならなかったということを告白します(笑)。

しかし、実際に読んで驚いたのは、こんな退屈な時代を、こんなにも美しく楽しく心が温まる、人を惹きつける物語にすることができたということが素晴らしく、驚きました。そうだ、僕が驚いたのだから、観客も驚かせることができるのかもしれない。そして、そういう映画にしたい、と思ったのを覚えています。

主人公の(フェンシングのトップ選手)エンデルと子供達が退治したシーンを読んだ時、ああ、この子たちはこれからどういう風に変化していくのだろう、そして彼はどんな感情の変化をしていくのだろう、という部分に自分はとても惹かれたのです。

■子役マルタ(リーサ)の演技経験は、一度だけ、ほかの子達は未経験だったそうですが、撮影時に苦労したことはありますか?

とにかく長い時間、毎日撮影をしなければならないので、子供達は大変だっただろうね。特に(試合二でる)レニングラードに行くメンバーの子たちは、フェンシングの練習もしなければいけなかったの苦労したと思います。

主演の子供たちを選んだ理由としては、役にのめり込むことのできる才能があったこと、そしてカメラの前に立った時の対応に惹かれて選びました。撮影が始まってしまったら私は何もできないんです。一番大事なのはその役にぴったりの子供を探すこと。ぴったりの子が見つかれば、全てを与えてくれるのです。今回はとてもラッキーでした!

■本作の核となるテーマとして「子供の人生における大人の役割」とおっしゃっている記事を拝見しました。現代の社会において、子供の人生における大人の役割は何だと思われますか?」

現代は豊かで、遊び道具を沢山持っている子供達が多くいるけれども、決して満足しているわけじゃないと思う。一番大事なのは彼らがこころを強く持てるようにしてあげることで、私たち大人はいつも近くに存在して、子供達が安心して過ごせるようにしてあげることが大事だと思います。

子供には人生の方向性を示す、お手本になる存在が必要ですよね。それは両親でも祖父母でも誰でもいいのだけれど、子供が「こういうことをしたい」という時に、目の前にいて鏡になって助けてあげられるような存在が必要です。大人が子供の鏡となれること。そこがとても大事だと私は思います。
■これからの時代を生きていく子供達の未来は明るいと思われますか?

必ずどんな国でも悩みがあると思うけれども、先進国では孤独が問題だと思う。老人だけではなくて実は子供の孤独も問題だと思います。だから、誰かが近くで「あなたのことを見守っていますよ。あなたはいてほしい存在なんですよ。」と思わせてくれるような存在が、人には必要なのだと思います。誰でもです。特に子供の場合は、自分が認められているという眼差しが希望につながると思います。

■今までに監督をされた長編作品の5本のうち4本がアカデミー外国映画賞で国を代表する作品となっていますが、監督が映画作りをされる際に一番重きをおいておられることは何ですか。

もともと賞には興味がなくて、なによりこの物語が観客に伝わることが一番大事です。そして、私が子供の頃に映画を観た時に感じた「自分と似た考えの人もいるんだ。」「自分は一人じゃないんだ。」「自分はこれでいいんだ。」と思ってもらえるような作品を作ることが私の一番したいことです。

■日本映画で好きな映画はありますか?
日本映画を沢山見られるような環境ではなかったけど、好きな映画は黒澤明の「乱」ですね。

■「ヤコブへの手紙」も多くの日本人がみました。「こころに剣士を」をこれから観る日本のファンへ一言お願いします。
「ヤコブへの手紙」では日本に行き(※フィンランド映画際)、映画を観た観客からとても暖かい反応をもらいました。
今の私たちに必要なのは、希望や仲間だと思います。この映画の題材にしているものです。ですので、この作品をご覧になっていただいた観客の方にも、希望や仲間を持つことの大切さを感じてもらえたら、とても幸せです。

最終更新日
2016-12-15 12:00:00
提供
シネマクエスト(引用元

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