1996年8月、マンチェスター出身のインディーズバンドが、前人未到の快挙を成し遂げた。25万人もの観客を動員したネブワース・ライヴでの2日間のコンサートは、当時最大規模の公演で、チケットを求めて約260万人もの予約が殺到。デビューからわずか3年でオアシスはロック界の頂点に到達していた。
リアム&ノエル・ギャラガー兄弟を中心に、94年にデビューしたオアシスは、アルバム7作品すべてがUKチャート1位に輝き、全世界でCDトータルセールス5,000万枚以上を記録。90年代を象徴するバンドとなった。
『オアシス:スーパーソニック』は、リアム&ノエル・ギャラガーが製作総指揮を務め、バンド結成から96年のネブワース・ライヴまでの軌跡を描くオアシス初の長編ドキュメンタリーとなる。製作には、アカデミー賞®最優秀ドキュメンタリー賞に輝いた『AMY エイミー』のスタッフが結集した。
本作のタイトルにもなっている「スーパーソニック」を収録した1stアルバム「Definitely Maybe/オアシス」は、当時イギリス史上最速のスピードで売れたデビューアルバムとなった。そんな名盤誕生の秘密とは?
1994年1月、モノウ・ヴァレー・スタジオでのレコーディングで、プロデューサーのアラン・マッギーは「ライヴの音と違う、良くない」とノエルに伝えた。「オアシスはライヴが最高なのに、そのノリが伝わってこなかった」。ノエルはイラついていて「いいから発売して2枚目でちゃんとやろう」と言ったが、アランは「これじゃ2枚目なんてない」とバッサリ。そこで、アランは2度目のレコーディングを決める。
2月、ソーミルズ・スタジオでの2度目のレコーディングでは、ライヴの音を担当していたマーク・コイルに白羽の矢が立った。ライヴの最高の音をアルバムに閉じ込めようとしたが、ミックスしてみると失敗。アランのがっかりした様子に3度目の正直を信じた。藁にも縋る思いで、3度目のミックスはオーウェン・モリスに依頼。オーウェンはスタジオで初めてリアムに会い「ジョン・レノンに似てる!」と言うと「当たり!」とリアム。そんなメンバーとの相性の良さもあってか、オーウェンは「1度ミックスしてみたら最高だった」と振り返る。その通り、最高だ、今となっては周知の事実だ。この3枚目こそ我々が知るオアシスの傑作なのだ。
本編では「ロックンロール・スター」「リヴ・フォーエヴァー」「ワンダーウォール」「モーニング・グローリー」ほかバンドの軌跡を語る上で欠かすことの出来ない名曲が20曲以上使われている。また、映画のタイトルとなった「スーパーソニック」は、オアシスのデビューシングルのタイトルである。
『オアシス:スーパーソニック』は、12月24日(土)、角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開。