映画『団地』の完成報告会見が26日に都内で行われ、阪本順治監督、藤山直美、岸部一徳、大楠道代、石橋蓮司、斎藤工が出席した。
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完全オリジナルの会話劇を書き下ろした阪本監督は「藤山さんをどこまで遠い所まで連れていこうかと思った」と今作の発想の経緯について話すと、藤山は「帰って来れない所まで行ってきました(笑)。16年間(阪本監督とは)ずっといい距離感で来させてもらったので、今回また新しい気持ちでできたんだと思います」と会場の笑いを誘いつつ振り返る。
藤山と岸部、石橋と大楠はそれぞれ夫婦役を演じた。二組の夫婦の絶妙な掛け合いが見どころのひとつだが、岸部は「実生活でも結婚しそこなった感じ。しててもおかしくなかったような、それくらい違和感がなかった」と振り返ると藤山は「(私が)19歳の頃から知っているので安心して楽しく演じさせてもらいました」と互いの信頼を語った。
阪本組常連の大楠&石橋はそれぞれ“清純派な妻”と“まじめな夫”という普段アウトローな役が多いのであえて違うものをという阪本監督のオファーだったが、大楠は「清純派なんてデビュー以来なので……」石橋は「撮影二日目からそんなの壊してやった!」と言いながら和やかな現場の雰囲気をのぞかせた。
今回、大御所俳優の中にひとり、初参加となった斎藤工は、「いち映画ファンとしてこの方々と一緒に作品を作り上げていく喜びに震えました。新たな邦画が生まれた瞬間に立ち合えました。僕の役は目が合っているようで合っていない、唯一、この方々と対峙できる役柄だったのが強み。まともに面と向かうと飲まれてしまう引力の強い方々なので……。藤山さんにたくさんあだ名を頂きましたが、今日は“打楽器を忘れた南米のミュージシャン”といじってもらえて幸せでした」と会場を笑わせた。
藤山は、「歳いったら若い人の名前とお顔が一致しませんやん。監督に『サイトウ“エ”って、誰』って。お写真見て後からわかりました」と初めて斎藤を認識したことを語り、「なんかのナンバーワン?」と言うとすかさず岸部が「抱かれたい男……」と耳打ちするなど再び斎藤をいじり、阪本監督は「撮影中もキャスト控え室に行くといつも皆に工くんがいじられていた」と暴露。斎藤はそれを受けつつも「撮影中も皆つっこみ合っていましたが、それでもいざ現場に入ると、何かを成し遂げてきた人たちの空気があって根っこの所で理解し合っている、そんな空間でした」と阪本組の現場を述懐。
藤山は「大人がつくる大人の喜劇、人間模様がちゃんと描かれていて不思議とほっこりした気持ちになれる映画」とアピールし締めくくった。