『シェーン デジタルリマスター版』の公開記念イベントが9日に都内で開催された。イベントでは『シェーン』オーディオコメンタリー【字幕版】の一部が公開されたほか、西部劇ファンの第一人者集団「ウエスタンユニオン」による熱いトークイベントが実施された。
本邦初公開となったオーディオコメンタリーは、2000年にアメリカ版DVD用に収録されていたもので、今回、日本でのプロモーションでの使用が初めて許諾された。撮影当時、現場で手伝いをしていたジョージ・スティーヴンス監督の息子であるジョージ・スティーヴンス・Jr.と、今作のアシスタントプロデューサーを務めていたイヴァン・モファットが、全編にわたって撮影秘話を明かしている。
トークイベントではウエスタンユニオン・ワゴンマスター(リーダー)の原川順男氏によって、1953年の『シェーン』公開当時の逸話の紹介後、ウエスタンユニオンのメンバーであり、映画ジャーナリストの田中雄二氏、関川正利氏によるオーディオコメンタリーを見ながらのクロストークが行われた。
コメンタリーでジョージ・スティーヴンス・Jr.による解説がなされる中、両氏も初めて『シェーン』を観た当時を熱く鮮明に語った。コメンタリーの、シェーンが銃の撃ち方をジョーイ少年に教える、というシーンでは、この日もウエスタンハットにガンベルトという“シェーンスタイル”でイベントに出席していた関川氏は、「シェーンがジョーイに向けて言う最後のセリフが印象深い」とコメント。田中氏は他のシーンも挙げ「数々の印象に残るセリフもこの映画の魅力」と話した。
トークはラストシーンの解釈への議論「シェーンは死んでいるのか?」にも言及しつつ、はっきりと描かない監督の意図を踏まえ「観る人によって感じ方や解釈は自由である」と、その議論が話題になるということこそが名作映画と言われる所以ではないだろうか、と締めくくられた。