4月16日公開の映画『ハロルドが笑う その日まで』から、グンナル・ヴィケネ監督のオフィシャルインタビューが到着した。
『ハロルドが笑う その日まで』予告
https://youtu.be/mUgflTCYeTA
ノルウェーで40年にわたり、誇りを持ってクオリティが高く温もりを感じる家具にこだわり続けてきたハロルド。しかし、ある日、彼が営む小さな家具店の目の前に、イケアの北欧最大規模の店舗がオープンし、状況は一変。閉店に追い込まれ、最愛の妻も失い、自暴自棄になったハロルドは、イケアの創業者であるイングヴァル・カンプラードへの復讐を決意し、スウェーデン、エルムフルトを目指す。道中で出会った孤独を抱える少女・エバもカンプラードの誘拐計画に加わり、極寒の地での珍道中が幕を開ける――。
今回のインタビューでは北欧ならではの撮影時の過酷なエピソードや、作品を通して伝えたいメッセージを語っている。
____________________________________________________________
映画製作のきっかけは?
私が敬愛するノルウェーの作家Frode Gryttenの短編に登場するハロルド・ルンデという人物に魅せられました。架空の敵相手に勇敢に戦い、生きるための理由と自分の存在意義を追い求める姿がドン・キホーテを想起させて実に魅力的なのです。
ノルウェーの俳優 ビョルン・サンドクヴィストを起用した理由は?
彼は多面性のある俳優で、演技の幅が驚くほど広い。脚本を書き始める前に、ハロルドの役は彼しかいないと確信していました。また、映画と同じぐらい舞台でも活躍する彼が持ち合わせている英知と他者への寛大さを尊敬していました。
カンプラード氏に本人役で出演してもらいたいとは思いませんでしたか?
もちろん思いました。でも86歳の老人に、凍った池に落ちるシーンを頼むことはできませんからね。
特殊効果は使用していないのですか?
ほぼ使用していません。彼らは本当に凍った池の水の中でバタついていました。靴を履いたままね。
寒さが撮影中の唯一の困難だったと言えます。撮影したスウェーデンの北部は、撮影中常にマイナス30℃以下で予想以上に過酷でした。ハロルドの店は私の出身地でもあるベルゲンの近くオサネで撮影されました。実際にあるIKEAの店舗の隣です。撮影監督のシーモン・プラムステンがとてもいい仕事をしてくれました。
本作をどのように形容しますか? ロードムービーでしょうか?
特にどのジャンルにも当てはまらないと思います。私は観客を驚かせることが好きで、慣例や垣根といったものを取り払いたいと思っています。それと同時に、根底にある意味や間というものを大切にしています。人間が好きなんです。
特に、誠心誠意行っているにも関わらず、失敗したり、まったく間違った方向に進んで行ってしまうような人に弱い。彼らの姿は私を笑顔にし、時に笑わせてくれます。でも決してからかっているわけではありません。ユーモアと優しさはとても相性がいいんです。口の悪いハロルドの妻・マー二ィも私は大好きです。私が映画のなかで老いや、老いていくことについて語るとき、それは自身の過去を遠ざけないのも大切だけれど、それ以上に新しい人に出会い、前に進み続けることこそが大切なんだということを伝えたいからです。