『岸辺の旅』初日舞台挨拶日にち:10月1日(木)会場:テアトル新宿登壇者:深津絵里、浅野忠信、小松政夫、柄本明、黒沢清監督ゲスト:ヌーレディン・エサディ氏(フランス大使館 文化部 映像放送担当官)黒沢清監督の最新作『岸辺の旅』が10月1日に初日を迎え、都内の劇場で舞台挨拶イベントを実施した。イベントには主演の深津絵里、浅野忠信、共演の小松政夫、柄本明らと黒沢監督が出席した。各人の舞台での主なコメントは下記の通り。■深津絵里「愛とか絆が全てだということが、すごく分かる作品」雨のなか初日にお越しくださりありがとうございます。いつも初日はやっと皆さんに観ていただける嬉しさと不安と今日を境にこの作品が私たちから離れてどこかへ行ってしまう寂しさを感じています。この感情は旅に出る気持ちと似ています。皆様にもそれぞれの心の旅をしてほしいと思います。本日はこの作品を選んでくださって本当にありがとうございます。浅野さんともよく話していたのですが、愛とか絆は形のあるものではないのに、絶対的な強いものだと思いますし、この世から消えてなくならないでほしいと思います。『岸辺の旅』は、愛とか絆が全てだということが、すごく分かる作品です。それを監督がとても強く伝えてくださるのが嬉しいし、こういう映画を観たかったなと思います。(印象に残ったこと)一番最初に訪れるお世話になった方が、小松さんが演じる島影さんで、浅野さんが演じる夫の優介と3人で夕飯を食べるシーンが好きです。監督が好きにやってくださいと言ってくださったので、アドリブで小松さんの楽しいお話を聞きながらおいしいご飯を食べられたので印象に残っています。■浅野忠信「この作品は強い愛が描かれている」今日を迎えられて嬉しいです。僕も撮影中一生懸命やりましたし、深津さんと監督と一緒にこういう作品を撮れて本当に嬉しく思っています。観たときに本当に新しい特別な気持ちが自分の中に芽生えて、この作品は強い愛が描かれていると自分でも強烈に感じることができたので、皆さんに早く観てほしいと思っていました。今日はとても嬉しいです。役というよりは、この映画で僕は深津さんに対する愛情とか絆が芽生えたと思います。深津さんじゃなかったらどうなっちゃったんだろうと思うんです。以前ほかの映画でご一緒した時から、深津さんとまた共演したいと思っていたので、こういう形で花開いて予想以上に絆を深めることになったので、観てくださった皆さんが大評判にしてくれて、“あの2人をまた観せろ”ということになると良いなと思っています(笑)。(印象に残ったこと)例えば小松さんが出てくる建物があっという間に姿を変えたり、はっと思わせるシーンが出てくるので、観ていて切ない気持ちになりました。■小松政夫「私をよくぞキャスティングしてくださいました」(淀川長治さんの口調で)またまたまたまたお会いしましたね。まぁ怖いですよ、怖いですよ、怖いですよ、また楽しいですよ。でもじーんと胸に迫るんですね。よくご覧なさい。構想10年、製作費83億円、製作日数2カ月の大作です、小松政夫が電線音頭を踊るんですよーというのは冗談でございまして(場内大爆笑)、このように日本を代表する名優の間にはまって、私をよくぞキャスティングしてくださいましたというお礼の気持ちが強いです。精一杯やらせていただきました。どうぞ最後までご覧ください。(印象に残ったこと)私を浅野さんがおんぶしてくれて、何回もNGを出してしまって、もう1回、またおんぶさせてしまうのは悪いなぁと思いましたが、あのシーンがとても良いなと思いました。■柄本明「黒沢監督の作品は日本が誇る映画」 今日はいっぱいお客様が来ていただいてありがとうございます。黒沢監督のことは『神田川淫乱戦争』『ドレミファ娘の血は騒ぐ』から注目していた監督で、亡くなった相米(慎二)監督も「黒沢君は天才だよ」と言っていました。僕はものすごくいっぱいNGを出しました。本当に申し訳ないことです。NG出して「どうもすみません」と言うんですけど、すまないという気持ちがあんまりなかったんですよね(笑)。黒沢監督は僕の好きな監督なので、NG出したって大丈夫だろうと思っていました(笑)。黒沢監督の作品は日本が誇る映画だと思います。楽しんで観ていただければと思います。(印象に残ったこと)僕はNGばかり出しましたが、口では申し訳ないと言いながら、心の中では申し訳ないと思っていない自分に出会えました(笑)。僕は普段は、本当はあまりNGを出さないのですが、甘えちゃっていたのかな。■黒沢清監督「人生でこの映画と出会って良かったという気持ちになっていただければ」本日はどうもありがとうございます。大先輩たちに囲まれていつになく緊張しています。数々の幸せな出会いからこの作品はできています。素晴らしい原作との出会い、素晴らしいスタッフたち、素晴らしい俳優。本当に幸せな経験でした。この幸せを皆さんに分けてあげたい気持ちでいっぱいです。映画の登場人物たちは必ずしも幸せではなく、中にはちょっと不幸せな人も交じっていますが、観終わった皆さんが最終的には観て良かった、人生でこの映画と出会って良かったという気持ちになっていただければ嬉しいです。■フランス大使館・エサディさんの談話黒沢清監督のプレミア上映にご招待いただき光栄に思います。黒沢監督がこの度のカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で日本人初めての監督賞を受賞されましたことにお祝いの言葉を差し上げたいと思います。この賞を受賞された事実は大変に重要なことでありまして、これからの映画に大きな影響を与えていくことと思います。フランスでは昨日からこの映画が公開され、映画が好きなフランス人の中でも5本の指に入るくらいの人気監督として、フランスでの公開日での水曜に代表的な映画として取り上げられました。黒沢監督とフランスは相思相愛の関係にあると思っていますが、この映画の成功もお祈りしています。
岸辺の旅
3年前に夫・優介(浅野忠...