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名匠エドワード・ヤン監督が1991年に発表した、伝説の傑作『クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』。がエドワード・ヤン監督の生誕70年、没後10年となる節目の今年、25年ぶりに4Kレストア・デジタルリマスターとして、日本のスクリーンに戻ってきた。
そんな、本作の再上映を祝福しに、エドワード・ヤン監督に見出され、本作で主人公の小四(シャオ・スー)を演じて鮮烈なデビューを飾ったアジアを代表するスター、チャン・チェンと、当時を最もよく知るプロデューサーのユー・ウェイエンが来日し、舞台挨拶を行った。
また、サプライズゲストとして、先日『怒り』で、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞した実力派俳優・妻夫木聡に、再上映と来日を祝福してサプライズ登壇!妻夫木は、ホウ・シャオシェン監督『黒衣の刺客』(15)で、チャン・チェンと共演し、共にカンヌ国際映画祭にも参加。国境を越え、役者仲間として深い絆で結ばれた2人。チャン・チェンの原点でもある本作の再上映について、胸が熱いトークが繰り広げられた。
満席の会場、割れんばかりの拍手と歓声に迎えられた主演のチャン・チェン、プロデューサーのユー・ウェイエン。ユーが開口一番に「みんなトイレには行ってきましたか?」と、舞台挨拶後に3時間56分の作品を鑑賞する観客たちに冗談をいうと、会場は爆笑の渦に。
没後10年、エドワード・ヤン監督に対する想い
■ユー・ウェイエン:1980年代に出会ってから、最後の作品までずっと一緒でした。とても長く続いた関係なので、一言では表せません。2007年に監督が亡くなった後も、この『クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』によって、5回、6回と上映や舞台挨拶などでチャン・チェンとも一緒に過ごすことができ、日本にもこうして来ることができました。それは、私自身とても得難い経験で嬉しく思っています。
■チャン・チェン:エドワード・ヤン監督は、私にとってとても特別な存在です。そして、この『クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』は、私の人生にとってとても特別です。これがなかったら、役者になっていなかったし、初めての来日も東京国際映画祭の上映でした。どれだけ時間が経っても、この作品は、その様な縁をもたらしてくれます。
デビュー作にして主演作で、実の家族(父・兄)と共演したことについて
■チャン・チェン:まだ演技もはじめたばかりだったので、実の家族で、家族を演じると言うのが、混乱したことを覚えています。しかし、役者になった今、思い返すと、ひとつの作品に家族をとどめられたというのは、素晴らしい経験だったと思います。
エドワード・ヤン監督がこの作品に込めた想い
■ユー・ウェイエン:ヤンが中学生だった頃に起きた実際の事件をもとに描かれています。この事件は、一見、恋愛のもつれによって起きた悲しい事件ですが、単にそれだけではなく、40年代台湾に移住してきた外省人たちの不安感や時代の大きな記憶を描いています。だからこそ、観客に普遍性を感じてもらえるのかもしれません。
ここで俳優・妻夫木聡によるサプライズ!!
25年ぶりの本作の再上映と、2人の来日を祝福しに、俳優の妻夫木聡が、花束を持ってサプライズ登壇!会場は、一層大きな拍手で沸いた。
■妻夫木聡:4時間という時間を全く感じさせない、光と闇が特徴的な作品です。チャン・チェンが劇中持つ、懐中電灯がまるで命の灯のように消えてしまいそうで、そういう部分に思春期の危うさが表現されていて素晴らしいと思いました。本当に様々なシーンが印象に残って、こんなにもいろいろな顔を持った作品は他にないと思います。
妻夫木さんから見たチャン・チェンの魅力
■妻夫木聡:本当にいい人なんです!(笑)『春の雪』(行定勲監督)の現場に、見学に来ていて、そこで初めて会いました。それから、彼が日本に来るたびにご飯も一緒に行ったりしていて、日本語もかなり勉強しているので、いつも日本語で会話しています(笑)
チャン・チェンから妻夫木さんへ逆サプライズ!!
チャン・チェンが、妻夫木が先日受賞した日本アカデミー賞最優秀助演男優賞のお祝いに、まさかの「勝負パンツ」のプレゼント!ジョーズがデザインされたインパクトのあるデザインに会場は爆笑。チャン・チェンは「新婚旅行で是非使って!」と冗談交じりに笑顔でプレゼントしていた。
最後に一言
■チャン・チェン:1つの作品が25年過ぎて、ユーさんとこうして舞台挨拶ができると言うのは、なかなかないことです。本当に、ここまで関わってくださったすべての方に感謝したいです。ありがとうございました。
■ユー・ウェイエン:監督にひとこと言いたい。亡くなって10年経ったね。君が僕らをまだ引っ張って行ってくれているんだね。そして、これからも引っ張っていってほしいと思います。本当にありがとう!