21年前、YEBISU GARDEN CINEMAで記録的なロングラン上映をはたした不朽の名作『Smoke』がデジタルリマスター版となって12月17日に公開を迎えた。初日には字幕翻訳を務めた戸田奈津子氏と製作総指揮である井関惺氏によるトークショーが開催された。
まず21年前に公開した映画『Smoke』が再び上映されることへの思いを聞かれると、井関「映画をつくっていると、自分の思ってたようなものができないことがよくある。でも今回はこうやって再上映するということは褒めていただけたということ。単純にすごく嬉しいです。」と、喜びを語った。
一方の戸田は「あの頃から21年も経ったなんて信じられな~い。私の中では10年ぐらいの感覚。とんでもなく時が過ぎていくわ。」としみじみ。また、「昔からある映画をこうやって観るチャンスを与えられることは、オールドファンからして涙がでるくらい嬉しい」と井関と同じく再上映したことへの喜びを語った。
本作を作ることになった経緯を聞かれると井関は「1995年、12月25日にニューヨークタイムズ紙にのった、ポール・オースターの短編小説が原作になっています。オースターのニューヨーク三部作を読んでいた私は彼の大ファンでした。ちょうど、『Smoke』の監督、ウェイン・ワンが日本に来ており、ニューヨーク・タイムズ紙に載った本作の原作でもある、『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』の切り抜きを見せられ感激。ポール・オースターの大ファンでもあったのでほとんどその名前だけに反応し、「制作したい!」と言いました。それが始まりです。」と説明。
また本作の製作費が約550万ドルで「当時の日本円で7、8億円ぐらいですかね」と説明した井関。これに戸田が「うぁ~!すごいわね~」と驚きの声をあげると「でも戸田さんが字幕をやってるのは、いつも100億円のばかりでしょ」と井関からツッコミが。戸田は「私お金のことって分かんないのよ。」と苦笑い。「戸田さんって数字がダメなんですよ。本当に。」と井関が更に厳しいツッコミを入れる場面も。
本作をつくるにあたってのエピソードなどを聞かれると、井関「ポール役とオーギー役は最初ティム・ロビンスとトム・ウェイツに決まっていたんです。ですが、ティム・ロビンスは途中で『ノー』と言い出し、トム・ウェイツは夫婦問題で行方不明。結果、ハーヴェイ・カイテルがオーギー役、ウィリアム・ハートがポール役をすることになりました。」と本作をつくるまでの貴重な裏話を説明。
名作に隠された裏話や、再上映するにあたっての思いなど、貴重なトークを繰り広げイベントは終了した。