日本を代表する国民的“食”コミック「深夜食堂」の映画化第二弾、『続・深夜食堂』が11月5日に初日を迎え、小林薫、河井青葉、池松壮亮、小島聖、不破万作、綾田俊樹、多部未華子、オダギリジョー、松岡錠司監督が舞台挨拶を行った。
小さな食堂“めしや”を舞台に繰り広げられる様々な人間模様を描き、“食欲の秋”にピッタリの思わず食べたくなる料理が登場し、根強いファンが多い本作は、ドラマ開始から7年目を迎える。小林は映画第2弾となる本作の公開初日を迎えたことに、「ドラマの第2シーズンぐらいで、松重くんが『奇跡みたいなもんですよ』と言いました。深夜枠でシーズン2として続いていることがかなと思っていたのですが、こうして映画も第2弾を迎えるにあたって、本当に奇跡的だなと思います。キャスト・スタッフも含めて、それぞれプロの仕事をした上で出来上がっている作品だと思います。これはドラマや映画でもなかなかできないことで、作れたことが奇跡です。常連客もセットに溶け込むかのように景色になっているのはなかなかないなと思っています。本当に奇跡的な作品になったと思います」と感慨深い様子。
本作を手掛けるまで映画のみの演出を手掛けてきた松岡監督は、初のドラマ演出にあたり、製作が決まったタイミングでオダギリに電話し、「(映画ではなくドラマをやるので)違うことやろうと思って」と打ち明けたところ、オダギリは「どんな仕事?」と返答したことを聞き、松岡監督が映画監督を辞めると勘違いしたというエピソードを暴露。そして、「いろんな人が参加してきてくれて、この世界を理解して、手を抜かずにやるということを最初からやっている。ファンタジーな路地裏の空気感がでたんだと思います。あまりにも馴染みすぎて、本番前に少し緊張感が足りないかなと思いますが(笑)」と、笑いとばす。
本作のシリーズで初参加となった佐藤が、「(シリーズもので)出来上がった現場に途中から入るのは空気感も含めつらいものがある」と前置きし、「今回は、ゲストとはいえ、温かく包み込んでくれた気がするので、現場は楽しかったです」と述懐。小林と佐藤の共演は、30年ぶり!「お互い老けたな」と笑い飛ばすも、「ご縁がある方はまたこうやって出会えるのは、嬉しい」と照れながらも喜びを露わにしていた。
佐藤と共演した河井も、はじめは「緊張した」と言いながらも「セットの外に立てたテントでは、“めしや”にいるときみたいに楽しくざっくばらんに話している感じが、緊張よりもリラックスできていい現場にいるなと思いました」、小島は「松岡監督のもとですごく心地のいい現場でした」と語り、現場での雰囲気の良さを口々に語る。池松は、「セットが素晴らしくて、見学をしていました」といい、300坪の倉庫の中に新宿・繁華街の路地裏をそのまま持ち込んだかのようなセットに感心していた。
本作で、常連客となった多部は、「前作は小林さんとの対峙シーンが多くて、今回は渡辺さんと二人きりのシーンが多かったので、私の中で深夜食堂の撮影はすごくベテランの俳優さんと芝居といけないという過酷な数日を贈るという刺激的な現場でした」といい、共演した渡辺美佐子さんの印象を聞いてみると、「監督と台本の解釈を真剣に話していたり、私のような年下にも気さくに接していただいて。チャーミングでとてもいろんな表情を見せてくださる方なので、愛される理由が分かりました。たくさんのことを学ばせていただき、とても充実した数日を過ごせました」と撮影現場を振り返った。
新シリーズではNetflixでも配信開始され、長年ファンに愛されている現象について、常連客のオダギリに尋ねると、「映画・ドラマあわせて42本。42本の大変さはキャストやスタッフの愛情がなせる業。お金がない中でやってきたのはすごいこと。他にはマネできない奇跡的なことだと思います」というと、「話が違っている」と監督からツッコミが入り、「なんで、これだけの人前で怒られないといけないの!?」と少し拗ねた素振りを見せ、会場から笑いが起こった。
オダギリ同様、7年常連として出演してきた不破は「私、7年やってます。自分は忠さんなのか、不破万作なのか、分からなくなっています」と笑いを誘い、綾田は「立ち飲みが好きで、隣のおじさんにたこインナーをいただいたのですが、私が好きなのは卵焼き」「中国の学生団体に囲まれて、『小寿々』と言われた」という世界に広がっていることを確信したよう。
公開初日の11月5日は、「いい(11)ご(5)縁」の語呂から縁結びの日に「神話の国・縁結び観光協会」によって制定されていることから、今回、ご縁があったエピソードを披露してもらうことに。佐藤「これから結婚式にいかなくてはいけなくて、こういう日に結婚式があるのか、舞台挨拶の日に、いいご縁の日に、結婚式!いや~縁があるって幸せですね」、池松「九州出身で麺が大好きで、特にうどんが好きです。蕎麦屋の息子で、そばよりもうどんが好きな役が回ってきたことに縁を感じています」、多部「ずっと犬を飼いたいと思っていたんですけど、ふとした時に出会った犬が私の家にいまいます。本当にいい縁を感じた瞬間はふとした時に訪れるんだなと思いました」、オダギリ「朝ごはんを食べようと思って、おかずがなかったんで、なんとなく常備している鳥のハムがあって、それを見たら期限が切れていて、常備しているものって食べようと思ったときにだいたい期限が切れていて、縁がないなと思っています」と質問とは真逆のご縁がなかったエピソードを披露し、松岡監督からは「スベりかけてるぞ」とまたもツッコミが入り、笑いが漏れていた。
最後に、小林が「自分で作ろうとして作り上げたことではなく、ひょんなことからスタートして7年間も続いてき作品とともに松岡監督との縁も感じます」と、ご縁のあった作品であることを伝え、「奇跡的な作品に仕上がりました」と、本作が続いていることへの喜びを言葉にして、イベントは終了した。