映画における資金調達の未来とは?『ハリウッドがひれ伏した銀行マン』初日トークショーイベント

映画における資金調達の未来とは?『ハリウッドがひれ伏した銀行マン』初日トークショーイベント
提供:シネマクエスト

20世紀後半のハリウッドで、数々の名作映画誕生を支えた伝説的銀行マンの半生を描いたドキュメンタリー『ハリウッドがひれ伏した銀行マン』が7月16日に公開を迎え、東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの矢田部吉彦氏をゲストに迎えたトークショーが開催された。

まずは作品をご覧になっていかがでしたか?

■矢田部:銀行を辞める前にこれを見ていたら、銀行をやめなかったかもしれないと思うくらい面白かったです。昔は映画と銀行の仕事が結びつくとは思っていませんでしたが、この映画を見ると、何か銀行からできるアプローチがあったかもしれないと感じました。銀行マンといえば数学的なセンスが求められますが、アフマンはそれほど難しいことをやっていたわけではないという点も面白かったです。

アフマンがプリセールという仕組みを作ったことは知っていましたか?

■矢田部:全く知りませんでした。今や当たり前の仕組みを彼が作り出したということに驚きました。また劇中に出てくる数々の有名作品は、アフマンがいなければできなかったと思うと本当に驚きです。

銀行員である彼が、なぜ多くの映画人からリスペクトされたのだと思いますか?

■矢田部:やはり映画愛があったからだと思います。そして大柄で落ち着きがあるキャラクターがうけたのではないかとも思います。魑魅魍魎たる私利私欲がうごめく世界で、着実に投資ではなく融資を行う、その姿はさぞや頼りがいがあったでしょうね。

映画にはアフマンもよく行ったカンヌ映画祭の様子が出てきますが、お仕事柄カンヌ映画祭にも行かれる矢田部さんからご覧になっていかがでしたか?

■矢田部:映画に出てくる当時のカンヌ映画祭は特に輝いていた時代だと思います。今でも華やかな映画祭の横で各映画会社の商談が活発に繰り広げられていて、映画ビジネスの場としてのカンヌ映画祭の重要性は全く衰えていません。様ざまな目的の人がいる商談の中で、もしアフマンのような人がいたら本当に頼りになると思います。

今の時代にアフマンのような人は生まれてくると思いますか?

■矢田部:生まれて欲しいとは思いますが、なかなか難しいとも思います。リーマンショック以降、銀行が保守的になっている現状もあり、一人の銀行マンが映画業界を引っぱっていくのは難しい時代です。

日本の銀行からもアフマンのような人が出てきて欲しいですね。

■矢田部:今、日本映画でも国際共同製作という形が増えはじめているので、今後より国際的な資金調達が活発化していくと思います。銀行マンは難しくても何か新しい仕組みを作り出すプロデューサーなんかが出てくる期待はできると思います。

最終更新日
2016-07-21 01:00:01
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シネマクエスト

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