提供:シネマクエスト
「劇団イキウメ」によって上演され、演劇界にセンセーションを巻き起こした舞台「太陽」が、「SR サイタマノラッパー」シリーズの入江悠監督の手で実写映画化。4月23日(土)についに公開を迎え、角川シネマ新宿にて行われた上映前の舞台挨拶に、神木隆之介、門脇麦、古舘寛治、「劇団イキウメ」主宰で原作・脚本の前川知大、入江悠監督が登壇した。
神木は「おととしの冬に撮影して、やっと今日を迎えられたなという気持ちです」と公開を迎えて晴れ晴れとした表情。作品について「初めて観た時、まだこの映画のことを全部理解できないなと思いました。でもいまの歳、環境で僕の中で感じたことがあり、5年後、10年後と違う環境でまた全然違うことを感じるんだろうと思いました。みなさんの心の中で育てていっていただく作品だと思います」と語りかけた。
門脇は「本当に現場は寒くて、明け方から撮影して、ちょっと寝て、また夜中まで撮影のこともありました」と過酷な撮影を振り返りつつも「『いいものを作ろう』『新しいものを作ろう』という静かな熱気にあふれていました。みんなで必死に戦いながら作り上げた作品です!」と胸を張って送り出す。
門脇と親子役を演じた古舘は「僕は普段は“ピンポイント俳優”で、ちょっと出てすぐいなくなることが多いんですが、今回はたくさん出ていて、しかも割といい男です」と得意げに語り笑いを誘う。作品について「パッと見、SFですが根幹に現代的なテーマがあります」と自信ありげにうなずいた。
2011年の舞台初演直後に前川と共に、映画の脚本づくりにために動き出したという入江監督。「普段はそういう言葉遣わないんですが『これは傑作だ!』と思い、何とかその感触に近づけたいと、前川さんと一緒にディスカッションし試行錯誤してきました」と述懐し、ようやく迎えた映画の船出に感慨深げだった。
作品の生みの親である前川も「よく『作品は自分の子供』と言いますが、そういう意味では2011年からずっと練ってきて、立派に親離れしてひとりで歩いていると思います。こちらから『どう見てほしいか』というのはなくて、観た人それぞれが持って帰っていただければ」と満足そうな表情を見せていた。
また、神木は見どころとして入江監督による長回しにも言及。「独特の緊張感、スピード感、人間の感情がリアルタイムで動いていく瞬間を肌で感じられると思います」と語り、入江監督も「俳優にしか出せない“知性”というものがあると思います。長回しによって、それぞれがどのように変化していくのかをじっと見ていただけると思います」と語った。
ちなみに、神木と古舘は、本作の撮影で急接近(?)し、撮影終了後には、神木が自宅に古舘を招いて将棋に興じたという情報も!古舘はこの件について「びっくりしました。2人だけの秘密のつもりでマスクしてこっそり行ってきたのに、Twitterに書かれていて(笑)」と語るが、すかさず神木から「ガッツリ一緒に唐揚げやポテトまで買いに行ったじゃないですか!」と突っ込みが入る。神木が次回作『三月のライオン』で棋士を演じることから、その練習相手を古舘に頼んだそうだが、古舘は「練習したくて、いいカモを見つけたって感じみたいで…」とそっけなく語り、慌てて神木が「いやいや、撮影中もずっと一緒にいましたし、一緒にお弁当食べてましたから!」とフォローし、会場は“年の差コンビ”のコミカルなやり取りに笑いに包まれていた。