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日本映画史上初となる、エヴェレスト標高5,200メートル級での撮影を敢行し、その過酷すぎる撮影秘話や、熱き挑戦から生まれる感動が、公開前からすでに話題の『エヴェレスト 神々の山嶺』。
3月12日(土)に初日を迎え、主演の岡田准一をはじめ、阿部寛、尾野真千子、佐々木蔵之介、ピエール瀧、風間俊介、そして平山秀幸監督ら豪華ゲスト登壇の舞台挨拶を行った。
岡田は、映画を見終えたばかりで熱い物語の余韻が冷めやらない様子の観客を見渡しながら「原作の熱い思いを映画化するということで、みなさんに熱を届けられるようにがんばりました。この熱が届けばうれしいです。こうしてみんなで並ぶと1年前の撮影のことを思い出しますし、ネパールのスタッフやみなさんの協力があってここに立てているのを幸せに思います」と丁寧にあいさつ。
続く阿部が「今日は寒い中、さらに寒い映画にありがとうございました。1年前、命懸けでエヴェレストで撮影してきました。その情熱を感じてもらえたらうれしいです」、ピエール瀧は「ハーハーする映画でしたけども、空気っていいよね!」、風間は「本当にエヴェレストに登っている時の深町と羽生の目がすごいとんでもないことになっていたと思います。今日の2人の目との違いを楽しんでいっていただけたら」とコメントした。
監督も「1年前の今日はまだ(エヴェレストで)目的地までたどり着かずに4,800メートルあたりをうろうろしていました。1年経って、やっと下山してきたという気持ちです」と初日を迎えた喜びを語った。
深町と羽生、命を懸けてでも夢に向かって挑む姿が感動を呼ぶ本作。「大切なものを犠牲にしてまでも、何かにのめり込んで挑んだことは?」という質問に、「これは阿部さんが相当なお答えを持たれていると思います」と岡田からの突然のムチャぶりが。
阿部「キミね、いつも僕に…!最悪な振りしてくれたね!」、岡田「(笑顔で頭を下げながら)お願いします!」と応酬を繰り広げていたが、ここからキャスト全員にまで飛び火する事態に。岡田「風間くんからにしますか?」、風間「いやいや!えーと、ここは佐々木さんがすごいお答えを…」、佐々木「こんな映画を見た後に、(深町と羽生以上に)自分が命を懸けてまで犠牲にすることってあるわけないやん!」とツッコミが入り、会場が大爆笑に包まれた。あらためて岡田が、エヴェレストの撮影では「何が起こる状況か分からなかったので、そういう意味では命を懸けた挑戦です」とコメントし、尾野も「エヴェレストに挑戦したのは、命を懸けていろんなことを犠牲にしましたし」と続け、監督も「大きなものを犠牲にしたという意味では(この)映画ですね。映画のために迷惑をかけてみんなに大変な思いもさせたけど、今こうやって楽しくいられる」と語った。
そして、エヴェレスト現地での撮影について岡田が「ネパールで震災もありましたし、日本での震災と時期も近かった。20年仕事をしているので、応援してくださる方に支えられて今があると思いますし、この現場では先輩(阿部)のお背中を見ながらやりましたし、芝居の勉強もさせていただきました」と振り返った。阿部も「ヤマハ本当に大変だったんだけど、岡田くんはみんなの前を歩いて全部の雰囲気を読んでくれて。16歳も下だけど、過酷な現場を背負って。すべてのスタッフに優しいし、尾野真千子さんもそうだけど気を配ってくれました。若いのに、ありがとう」と主演の岡田への感謝とねぎらいを述べると、岡田は阿部の方を向きながら「今日、俺泣いてもいいですか?」とコメント。会場から大きな拍手が起こった。
過酷な撮影をやり遂げた思いは登壇者みな同様で、尾野は「役者は(高山病などで)下山してしまったら撮れなくなるので、本当にまわりのみんなにいろんなことに気を使ってもらいました。スタッフの人には本当に感謝したいですね」と述べ、佐々木は「僕の撮影はみなさんがネパールから帰ってきてからだった。みんなが力強くて、スタッフ、キャストの背中を見て『ああ、ついていこう』と思いましたね」と振り返った。瀧も「山の大変さとかわからない部分もあるんですけど」としつつも「僕も子どもも番組で真冬の富士山に登らされたことがあるんですけど、山のプロの人が『山は登るよりも下りる方が大変、下山が大事だ』と言っていて。登るのは撮影して、映画が出来て。そこからの下山というのはみなさんが紹介してくれたり見てくれたりとか、そっちが大事だと思うんです。みなさん、下山の方よろしくお願い致します」と本作を登山に例え、観客に思いを託した。風間は「スタッフ、みなさんのエネルギーが本当にすごくて、関わったみなさんの思いが詰まった映画だと思います。一昨年僕をすごく応援してくれた祖父が亡くなったんですが、エヴェレストは天国に近いと思うので、祖父が喜んでくれたらいいなと思っています。感謝している祖父にこの映画を見てもらいたいです」と祖父への思いを語った。
エヴェレストに懸ける男たちの熱い挑戦を見届ける“待つ女”涼子役を演じた尾野には、司会から一番“カッコいい”と思うキャラクター、逆に“この人とはやっていけない”と思うキャラクターは誰?と質問が飛ぶと、尾野は「この作品の男の人たちってとんでもないことするじゃないですか。女性からしたらどうしてこんなに待たなきゃ?って思ったりもするけど、かっこいいって言ったら深町かな?」と深町推しのコメント。逆にやっていけないなと思うのは「羽生…ですかね。」と阿部を見ながら答えると、阿部が「あんなに愛し合っていたのに。どこがダメでしたか?」と腑に落ちない様子。尾野の「待っている身として、(涼子を)放っておきましたよね?ネックレスだけ渡されてもね」と厳しい言には阿部も「すみません…」と演じた羽生に代わって謝罪。ここでも会場は笑いに包まれた。
この日がホワイトデー目前ということで、紅一点の尾野に、男性キャスト陣から超特大エヴェレストケーキのサプライズが!エヴェレストの8,848メートルにちなんだ1万分の1スケール、高さ88.48センチのケーキのあまりの迫力に、尾野は口をあんぐりさせ、驚きを隠せない様子。岡田が「尾野さんは元気な姿で、現場で女性一人なのに気を使ってくれて、すごく元気をいただいて感謝しています。心強く共演させていただきました。ありがとうございました」と男性陣を代表してホワイトデーのお礼を述べた。
“エヴェレスト級 8,848メートルの長さをつなぐ、前人未到タルチョ作成キャンペーン”では、全国各地や公式サイト上から合計26,002枚のタルチョが集まり、すべてをつなげた長さはエヴェレストの標高を超える9,100メートル分までに到達。青・白・赤・緑・黄の5色で構成され、全国のみなさんの想いが書かれたタルチョ旗を客席全員が手に掲げると、会場全体が「エヴェレスト」一色に。その後行われたフォトセッションでは、色とりどりのタルチョを持つ観客の間にキャストと監督が並び、岡田は客席を振り返りながら「勢いづくためにも、みなさん力を貸してください!」と呼びかけると、大きな歓声が巻き起こり、会場全体が一つに。最後は代表して岡田が「本日から公開しました。切ないほどに挑戦する男たちと、信じて待つ女性たちの物語です。ぜひ劇場で迫力の映画を見ていただけたら。そしていろんな方に薦めていただけたらうれしいです」と挨拶し、締めくくった。