
麻痺して動かず回復しない手足=《廃用身》に対して医師が施した“治療”が、波紋を広げていく--。久坂部羊のデビュー小説を、染谷将太主演×吉田光希監督(「症例X」「家族X」「三つの光」)により映画化したヒューマンサスペンス「廃用身」が、2026年5月よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国で公開。ティザービジュアルが到着した。
デイケア〈異人坂クリニック〉の漆原院長(染谷将太)は、画期的な“治療”を実践している。それは介護のコスパ向上を目指して《廃用身》を切断するというもので、患者からは「身体も心も軽くなった」「厳しい性格が柔らかくなった」など“好ましい副作用”の報告も寄せられたという。
その噂を聞き、医療革命の可能性を感じた編集者の矢倉は、漆原に本の執筆を持ちかける。ところが治療に対する内部告発が週刊誌に流出し、患者宅で衝撃の事件が起きたことで、すべてが暗転する--。
〈コメント〉
染谷将太(主演)
自分が吉田監督と出会ったのは高校生の頃でした、素敵な作品と素敵なお人柄に惚れてから長い年月が経ち、この度お話を頂いた時、驚きと喜びに溢れました。そして頂いた台本の題名が『廃用身』でした。久坂部先生の衝撃作を吉田監督が実写化、もはやある種の恐怖を感じました。とんでもない作品になるなと。
それと同時に漆原糺という主人公を演じる恐怖にも襲われました。
正義と悪は曖昧なものだという事は様々な作品で語られてきました。しかしこのような切り口から描かれ、世に投げかける作品は無かったのではないでしょうか?社会的な意味も大いに含むこの作品を映画芸術として吉田監督は正々堂々と描き切りました。
1人の医師の、1つの症例のような人生を、皆様に目撃して欲しいです。
吉田光希(監督)
原作を初めて読んだときの感触は、今も消えずに残っています。
心がどこにも置けなくなる不安と同時に、自分の未来が冷たく、正確に切り取られた気がしました。あの読後に立ち上がった名付けがたい気配を、映画という形で問い直したい--その思いが、長いあいだ自分を突き動かしてきました。
自由な映画表現を受け止め、原作を託してくれた久坂部羊さんに、心から感謝いたします。
この作品は、誰もが自身の未来を映し出し、息を潜めて向き合わざるを得ない問いを、優しく、しかし容赦なく投げかけます。
超高齢化社会の現実に直面したとき、ひとりの医師が下す選択を、観る人の皮膚の下まで、静かに届けたいと思いました。
どうか、目を背けないでください。
ここに映るのは、誰かの母でもあり、父でもあり、やがてあなた自身でもある、避けられない現実です。
この問いが、それぞれの場所に残ることを願っています。
久坂部羊(原作者)
まさか映画化されるとは思いませんでした。
なにしろ『廃用身』が出版されたときの宣伝文句が「映画化、絶対不可能!」でしたから。
「切って楽になれるなら切ってほしい」は、私が現場で実際に聞いた言葉です。
介護に関わる方、介護に悩む方、すべての人に、常識の枠を取っ払ってこの映画を観ていただきたいです。
「廃用身」
原作:久坂部羊『廃用身』(幻冬舎文庫)
監督・脚本:吉田光希
主演:染谷将太
配給:アークエンタテインメント
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