
ヴェラ・ヒティロヴァー監督による1960年代チェコ・ヌーヴェルヴァーグの代表的かつ独創的な一作「ひなぎく」が、製作60周年および日本劇場公開35周年に合わせ、4Kレストア版により3月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。60周年記念特別キービジュアル、予告編、著名人のコメントが到着した。
日本でもカルト的な人気を誇り、1960年代の“女の子映画”の決定版といわれる本作。主人公は“マリエ1”と“マリエ2”の二人で、彼女たちが人形の真似をしたり、姉妹と偽り男たちをだまして食事をおごらせたり、牛乳風呂に入ったり、あらゆるものをちょん切ったりする気ままな姿を、色ズレやカラーリング、実験的な効果音や光学処理など、さまざまな手法を用いて描く。
食べ物を粗末に扱う描写が反体制的だと国会で糾弾されたものの、作家のミラン・クンデラら多くの人々に擁護され、本作の上映は許可された。ところが民主化運動《プラハの春》が1968年にソ連軍により弾圧されたことで、ヴェラ・ヒティロヴァーは1969年から76年まで活動停止を余儀なくされた。
https://www.youtube.com/watch?v=nGQpraACKts
〈コメント〉
うつくしく愛らしく無垢であるようで、勝手気ままな少女たちの映像美は何度見ても目を奪われる。
単に綺麗な画面ならば心に残らないものですが、この作品の訳のわからない風刺のような暗示的結末によって普遍的な魅力を放ち続けるのでしょう。
--ヒグチユウコ(画家)
世界が堕落しているなら、私たちも堕落しよう。『ひなぎく』において破壊とは、反抗であり、解放であり、消費であり、創造であり、何より喜びである。マリエとマリエは母でも妻でも娘でもない。女性の外見を持った、制御不能なマリオネットだ。空前絶後のパンキッシュな映画である。二人はあらゆる生産性や合理性に中指を立てる。この映画に熱狂する観客は、自分の胸の中に反逆のマリオネットを発見することだろう。コントロールを失った世界の快楽に陶酔することだろう。『ひなぎく』はエレガントに、毅然とした態度でオーディエンスに呼びかける。何者もあなたの若さを踏みにじることはできない。何者もあなたの喜びを踏みにじることはできない。
--宮代大嗣(映画批評)
「ひなぎく 4Kレストア版」
監督:ヴェラ・ヒティロヴァー
原案:ヴェラ・ヒティロヴァー、パヴェル・ユラーチェク
脚本:ヴェラ・ヒティロヴァー、エステル・クルンバホヴァー
撮影:ヤロスラフ・クチェラ
美術:エステル・クルンバホヴァー、ヤロスラフ・クチェラ
衣装:エステル・クルンバホヴァー
音楽:イジー・シュスト、イジー・シュリトゥル
出演:イトカ・ツェルホヴァー、イヴァナ・カルバノヴァー
1966/カラー/チェコスロヴァキア/チェコ語/77分
原題:Sedmikrásky
配給:チェスキー・ケー
協力:チェコセンター東京、チェコ蔵(CHEKOGURA)、HiWaPlus
©Czech audiovisual fund, source: NFA
公式サイト:https://hinagiku2014.jimdofree.com

