河瀨直美監督がキャストにヴィッキー・クリープスと寛一郎を迎え、小児臓器移植を題材に愛と生命の物語を描いた「たしかにあった幻」が、第78回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門にクロージング作品として招待されることが決定。日本では2026年2月に全国公開される。
国際⼈材交流事業の⼀環で⽇本へやってきたフランス⼈のコリー(ヴィッキー・クリープス)は、臓器移植が必要な人と関わるレシピエント移植コーディネーターとして、⽇本で数少ない⼩児⼼臓移植を行う病院で働き始める。そして業務に追われながらも、患者とその家族、医師や看護師、コーディネーター、保育士や院内学級の先生らと触れ合う中で、⼈々の輪の温かさを認識していくのだった。そんな中、屋久島で出会って以来、心の支えとなってきた恋人の迅(寛一郎)が、前触れもなく消えてしまう……。
〈コメント〉
河瀨直美(監督・脚本)
この度、映画を本当に愛してやまないロカルノ国際映画祭の選考委員の皆様に本年度のコンペ部門のクロージングフィルムに選んでいただきましたことを大変光栄に思います。
思い返せば、2000年公開の「火垂」がロカルノで受賞したことは私にとってとても美しい忘れられない想い出です。
25年の月日を経て、またロカルノに戻って来れたことに感謝しています。
新作に寄せたロカルノ映画祭のアーティスティックディレクターのGiona A.Nazzaroさんからのメッセージを以下に記します。
「水のように、音を立てずに深く掘り下げ、沈黙を恐れず、耳を傾ける映画を作ってくれてありがとう」
ヴィッキー・クリープス
When I make a movie, I follow an invisible thread – one woven into the larger tapestry of dreams. This particular thread led me deep into the ancient forests of Yakushima and back into the gentle heart of childhood. I walked the delicate line between ghosts and reality, drawn by the mystery of love.
映画を作るとき、私は目に見えない一本の糸をたどります--夢という大きな織物に織り込まれていく糸です。今回、糸は、私を屋久島の太古の森の奥深くへと導き、そして幼い頃のやさしい心へと連れ戻してくれました。幽霊と現実のあいだの繊細な境界線を歩きながら、私は愛という謎に引き寄せられていきました。
寛一郎
諸行無常。
何かこの作品に込められたテーマのような気がしています。
この作品は自分にとって挑戦でした。
言語、さまざまな自然での撮影、新たな人との出会いで、沢山の学びと、この現場でしか体験できない経験をさせてもらいました。
そんな作品がこうしてロカルノ国際映画祭に招待していただいた事を光栄に思います。
関わった沢山の人たちの努力が報われる気がします。
そしてこの作品が世界の人に見て頂けることに喜びを感じています。
「たしかにあった幻」
出演:ヴィッキー・クリープス、寛一郎
監督・脚本:河瀨直美
音楽:中野公揮
制作:CINÉFRANCE STUDIOS、組画
共同制作:カズモ
配給:ハピネットファントム・スタジオ
© CINÉFRANCE STUDIOS – KUMIE INC – TARANTULA – VIKTORIA PRODUCTIONS – PIO&CO – PROD LAB – MARIGNAN FILMS - 2025
公式サイト:https://happinet-phantom.com/maboroshi-movie/