時代が急速に変わる中、自然との繋がりを見失った狩猟民の男。自分の分身ともいえる牛と出会い、農⺠となって牛と共に大地を耕しながら、木、水、風、霧、土、火、万物との連なりをただ静かに見つめる--。「祖谷物語-おくのひと-」の蔦哲一朗監督が、ツァイ・ミンリャン作品で知られるリー・カンションを主演に迎えて撮り上げた「黒の牛」が、2026年1月23日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿K’s cinemaほか全国で公開される。ティザーチラシと予告編が到着した。
禅に伝わる悟りまでの道程を十枚の牛の絵で表した『十牛図』に着想を得て、一部に70mmフィルムを使用しながら8年をかけて制作した本作。主人公と出会う禅僧を田中泯が演じ、生前に参加を表明していた坂本龍一の楽曲が流れる。第37回東京国際映画祭でプレミア上映され、第49回香港国際映画祭でFirebird Award(最高賞)、第26回全州国際映画祭でNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞した。
ツァイ・ミンリャン監督は「蔦哲一朗の眼差しに、改めて心を動かされました。シャオカンがこれほど澄みきった作品に身を委ねたことを誇りに思います。(※シャオカンとはリー・カンションの愛称であり役名)」とコメントを寄せている。ティザーチラシには艶やかな牛とともに、リー・カンション直筆の『黒之牛』という文字が据えられた。《無》への旅というべき作品世界に注目したい。
「黒の牛」
監督・脚本・編集:蔦哲一朗
プロデューサー:市山尚三、エリック・ニアリ、黄インイク、アレックス・ロー
共同プロデューサー:饒紫娟
撮影監督:青木穣 脚本:久保寺晃一、上田真之、熊野桂太 美術:部谷京子 衣装:大塚満 録音:岩間翼、大町響槻 サウンドデザイン:周震、松野泉 音楽:坂本龍一
出演:リー・カンション、ふくよ(牛)、田中泯、須森隆文、ケイタケイ
2024年/日本・台湾・アメリカ/114分/シネマスコープサイズ/5.1chサラウンド/白黒&カラー
配給:alfazbet、ニコニコフィルム、ムーリンプロダクション