異端の作家にしてカルト・アイコン。その謎めいた実像に迫る「バロウズ」

異端の作家にしてカルト・アイコン。その謎めいた実像に迫る「バロウズ」1
異端の作家にしてカルト・アイコン。その謎めいた実像に迫る「バロウズ」2

提供:キネマ旬報

麻薬常用者の体験を綴った『ジャンキー』や猥褻文書として発禁騒ぎになった『裸のランチ』、さらには公開待機中の映画「クィア/QUEER」の原作書である『クィア』といった作品で知られる異端の作家ウィリアム・S・バロウズ。その謎に包まれた実像に迫ったドキュメンタリー「バロウズ」(1983)が、5月9日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開される(日本では1987年に封切られ、今回が初のリバイバル)。ハットとスーツをまとったバロウズを据えたメインビジュアルと、バロウズ作品の翻訳者として知られる山形浩生氏のコメントが到着した。

アレン・ギンズバーグやジャック・ケルアックらと共にビート・ジェネレーションを代表する作家であり、〈カットアップ〉の手法で言語世界に新たな地平を切り開き、内縁の妻を射殺、晩年には画家や俳優としても活躍し、NIKEのコマーシャルに出演するなど、まさにカルト・アイコンだったバロウズ。
その人物像について、本作ではギンズバーグやルシアン・カー、ハーバート・ハンケ、フランシス・ベーコン、ブライオン・ガイシンといった作家・芸術家の仲間が証言する。またバロウズ自身が“妻殺し”の真相や文学のスタイル、人生の思い出、1日のルーティーン、銃や機械へのオブセッションを語り、自作を朗読。さらに兄や息子も登場する。
監督のハワード・ブルックナーは、ニューヨーク大学映画学科の卒業制作として1978年に「バロウズ」に着手し、5年をかけて完成させた。音響担当で友人のジム・ジャームッシュ、撮影でトム・ディチロが参加している。監督は1989年に亡くなるが、2011年に甥のアーロン・ブルックナーがプリントを発見したことでデジタルリマスターが実現し、作品は再び日の目を見ることになった。

山形浩生コメント
20世紀アメリカ文学の奇人ウィリアム・バロウズ。本作は本人の全面協力で作られた、伝記ドキュメンタリーの決定版だ。80年代初頭のバロウズ中興期を中心に、生家、ニューヨークの本拠地とカンザスの新居、さらに間もなく他界する兄や息子、妻の射殺の貴重な映像なども満載。彼をとりまく当時のニューヨークオルタナ文化圏も赤裸々に描かれる。そのうえサウンドはあのジム・ジャームッシュ!
『クィア』で始めてバロウズを知ったみなさんも、本作で是非この怪しいジジイの真価をご堪能あれ!

「バロウズ」
監督:ハワード・ブルックナー
撮影:トム・ディチロ、ジェームズ・A・レボヴィッツ、マイク・サウソン、ニコラス・ストラザース、リチャード・L・キャンプ、キャシー・ドーシー
録音:ジム・ジャームッシュ、エドワード・ノヴィック、G・オズボーン、ピーター・ミラー、ケヴィン・ゴードン、デヴィッド・E・ハウレ
スチール:ポーラ・コート
出演:ウィリアム・S・バロウズ、フランシス・ベーコン、モーティマー・バロウズ、ウィリアム・S・バロウズ Jr.、ルシアン・カー、ジャッキー・カーティス、アレン・ギンズバーグ、ジョン・ジョルノ、ジェームズ・グラウアーズ、ブライオン・ガイシン、ハーバート・ハンケ、ローレン・ハットン、スチュワート・メイヤー、パティ・スミス、テリー・サザーン
1983年/90分/カラー&モノクロ/モノラル/1.33:1
原題:BURROUGHS: THE MOVIE
提供:マーメイドフィルム 配給:コピアポア・フィルム
© 1983 Citifilmworks / © 2013 Pinball London Ltd. All rights reserved.
公式サイト:burroughsthemovie.jp

最終更新日
2025-04-10 09:55:52
提供
キネマ旬報(引用元

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