
芥川賞作家・村田沙耶香のベストセラー小説『消滅世界』が著者初の実写映画化。気鋭の映像ディレクターである川村誠が初監督・初脚本を務め、主人公・雨音に蒔田彩珠を迎えて今秋に全国公開される。
本作品の原作『消滅世界』は、現在累計170 万部を超える芥川賞受賞作『コンビニ人間』直前の2015年12月に刊行された長編小説。超少子化の先--『性』が消えゆく世界で激動する『恋愛』『結婚』『家族』のあり方に翻弄される若者たちを描いた本作は、『常識』という枠の中でもがく現代の私たち自身を映し出した合わせ鏡のような作品だ。『日本の未来を予言する小説』と各メディアで話題となった衝撃を映像ディレクター・川村誠が脚本とともに映像化に挑む。本作が長編映画の監督デビュー作となる。
主人公を演じる蒔田彩珠は、『第44回日本アカデミー賞』新人俳優賞受賞、『2020年第94回キネマ旬報ベスト・テン』助演女優賞、『第45回報知映画賞』助演女優賞を受賞など、多くの名監督から熱視線を浴び、その確かな実力で業界の注目を集めており、この刺激的なテーマを内包した圧倒的衝撃作の実写化に挑戦する。
〈コメント〉
【蒔田彩珠】
この物語を、初めはSF と感じる人が殆どなのではないでしょうか。私自身も、ありえない世界、経験するはずもない気持ちをどう表現するか、壮大なファンタジーをリアルに演じるには、と難しさを感じていましたが、そんな心配は必要ありませんでした。どんどん物語に引き込まれ世界観が変わっていき、これは未来の現実?とまで考えてしまいそうになる自分が怖くなりました。今、当たり前と思っている現実は作られたものであり、貫いているつもりの自己も危ういのではないか。脳内が刺激され、人生について深く考えさせられます。観てくださったみなさんの感想が楽しみな作品です。
【川村誠】
観る者が彼女から目を離せなくなる、シーンを支配してしまうような引力--兼ねてより俳優としての蒔田さんの存在感と演技力に底知れないポテンシャルを感じていました。等身大の二十代女性の自然体の中に、全ての村田作品の主人公から受け取れる「自らに刃を向けるような内省」を体現できる俳優。探し求めていたのはこの方だと、初対面で直感しました。現場に入り、物語を深いところで理解しながら感じたままに演じるその姿からは、一種の”憑依力”のようなものを感じました。確かに雨音はそこに存在しました。主人公のこの表情、この感情を描くために映画を撮ったのだ、と思える瞬間が幾度となく訪れました。非常に難しいこの役柄に挑んでくださった事に心から感謝しています。撮影現場で自分が目の前で感じた「演技で心揺さぶられる感覚」--その衝撃と感動を、スクリーンで味わって頂ける日が今から待ち遠しいです
Story
人工授精で、子どもを産むことが定着した世界。 そこでは、夫婦間の性行為はタブーとされ 恋や性愛の対象は『家庭の外』の恋人か、二次元キャラというのが常識に。 そんな世界で『両親が愛し合った末』に生まれた主人公・雨音は、母親に嫌悪を抱いていた。 家庭に性愛を持ち込まない清潔な結婚生活を望み、夫以外のヒトやキャラクターと恋愛を重ねる雨音。 だがその“正常”な日々は、夫と移住した実験都市・楽園(エデン)で一変する。
「消滅世界」
原作:「消滅世界」(村田沙耶香著/河出文庫)
出演:蒔田彩珠
監督・脚本:川村誠
劇場公開 : 2025年秋
配給会社 : NAKACHIKA PICTURES
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