鬼才アレクサンドル・アジャの出世作となったスラッシャー・ホラー「ハイテンション」(2003)が4Kで復活。6月6日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開される。ポスタービジュアル、エクストリーム・ホラー界の第一人者である小林真里(映画評論家/映画監督)の推薦文、場面写真が到着した。
大学生のマリーとアレックスは、静かな田舎で試験勉強に励むため、アレックスの実家を訪れる。その直後、謎の中年男が現れ、刃物でアレックスの両親と弟を惨殺。マリーが物陰で息を潜める中、男はアレックスをトラックで連れ去った。マリーはアレックスを救出するため、決死の戦いに挑むが……。
マリーを演じるのは「スパニッシュ・アパートメント」のセシル・ドゥ・フランス。その後のフレンチホラーの流れを決定づけた重要作が、再び観る者を震撼させる。
小林真里(映画評論家/映画監督)推薦文
21世紀エクストリーム・ホラーのパイオニア『ハイテンション 4K』がついに映画館に襲来!
2000年代初頭、ホラー不毛の地フランスで突如勃発したニューウェイブ・オブ・フレンチホラー・ムーブメントの先陣を切り、フランス発のホラー映画を世界的に認知させる大きなきっかけとなった記念碑的作品が、アレクサンドル・アジャ監督の長編2作目『ハイテンション』(03)だ。
同胞の『屋敷女』(07)や『マーターズ』(08)のみならず、ジェームズ・ワン監督の『ソウ』(04)やイーライ・ロス監督の『ホステル』(05)といった、ホラーファンの誰もが知る2000年代を代表するハリウッドのエクストリームなホラーよりもいち早く、この衝撃作が誕生していた意味も極めて大きい。若い女性が主人公のエクストリームなゴア描写と意表を突くツイストを含むスラッシャーに、ダークなサイコロジカルホラー、時に繊細で屈折したラヴストーリーをも融合した、フランス人特有の感性が込められた濃厚な組み合わせが独創的な『ハイテンション』は、20年以上経った今も決して色褪せることがない。
近年ジュリア・デュクルノー監督の『TITANE/チタン』(21)がカンヌ国際映画祭でパルムドールに輝き、コラリー・ファルジャ監督のボディ・ホラー『サブスタンス』(24)がアカデミー賞で作品賞を含む5部門にノミネートされるなど、フランス人監督によるホラーの隆盛が顕著だが、その源流にあるのが『ハイテンション』なのだ。また同作のシニシズムと虚無的なエンディングは後世のホラーに脈々と受け継がれているが、その代表的作品がアリ・アスター監督の『ミッドサマー』(19)であり、オズ・パーキンス監督の大ヒット作『ロングレッグス』(24)だろう。
そう考えるとこの2025年は、『ハイテンション』を再訪、もしくは初体験するのに絶好のタイミングではなかろうか? 映画館の大スクリーンで洗練された4Kバージョンを観られるこの機会を、決して見逃すな!
「ハイテンション4K」
監督・脚本:アレクサンドル・アジャ
撮影:マキシム・アレクサンドル
美術:グレゴリー・ルヴァスール
特殊メイク:ジャンネット・デ・ロッシ
音楽:フランソワ・ウード
出演:セシル・ドゥ・フランス、マイウェン、フィリップ・ナオン、フランク・カルフン、アンドレイ・フィンティ、ワーナ・ペリーア
2003年/フランス/ホラー/91分/ビスタサイズ/5.1ch/R15+
提供・配給:キングレコード
©2003 ALEXANDRE FILMS / EUROPACORP
公式サイト:hightension4k.jp
