「PLAN 75」でカンヌ国際映画祭カメラドール特別賞に輝いた早川千絵監督が、日本・フランス・シンガポール・フィリピン・インドネシア共同製作により、大人たちと接する中で揺れていく少女を描いた「ルノワール」が、6月20日(金)より新宿ピカデリーほか全国で公開される。
1980年代後半のある夏。11歳のフキは、両親と3人で郊外に暮らしている。大人を戸惑わせるほど感受性が豊かな彼女は、持ち前の想像力を膨らませながら、気ままに過ごしていた。時に垣間見る大人の世界は、刺激的だが滑稽で、楽しくて仕方ない。だが、闘病中の父と仕事に追われる母との間にはいつしか溝が生じ、フキの日常も揺らいでいく--。
フキを演じるのはオーディションで選ばれた鈴木唯。母の詩子役は石田ひかり、父の圭司役はリリー・フランキーが務め、フキが出会う大人たちには中島歩、河合優実、坂東龍汰が扮する。フキの豊かな感情と大人たちのままならなさを、ユーモアを滲ませて温かく見つめた注目作だ。
〈コメント〉
早川千絵(監督・脚本)
うれしい、楽しい、寂しい、怖い。子どもの小さな体に、はちきれんばかりに宿る感情。
そこに「哀しい」が加わる時、人は初めて大人になるのかもしれません。
子どもと大人の淡い境目をたゆたう少女の、複雑怪奇な感受性と豊かな孤独が親密さをともなって、この映画を観た人の心に触れることを願っています。
鈴木唯(沖田フキ役)
映画「ルノワール」でフキを演じた鈴木唯です。映画の主演が決まったときは、「え?!本当!」と、とても驚きました。フキは不思議な感じの子で、演じることは大変でしたが、撮影はとても楽しかったです。早川監督とみんなで一緒に作った映画「ルノワール」に、少しでも興味を持ってもらえたらとても嬉しいです。
石田ひかり(沖田詩子役)
ずっと楽しみにしていた「PLAN 75」を、初日の初回で観ました。あの時の衝撃は、今でもいくらでも話すことができるほど、くっきりと心に残っています。監督に直接、その想いを伝えることが出来ただけで満足でしたが、「早川組」の一員として過ごした日々は、本当に夢のようでした。終わって欲しくなくて、始まってもいないのに、クランクインが来て欲しくないと思った作品は初めてです。
日本語と英語、フランス語とジョークが飛び交う、楽しくおしゃれで刺激的な現場でした。娘役の唯ちゃんは、どの瞬間も純粋でなに色でもなく、教えられることがたくさんありました。夫役のリリーさんは、減量を続けながらの撮影で本当に大変だったと思いますが、控え室でも現場でもとびきり楽しい話をして、私たちをいつも笑わせてくださいました。夢のような気持ちで撮影した作品が、いよいよ皆様の元へ巣立っていきます。多くの方の心に、届きますように。
リリー・フランキー(沖田圭司役)
この少女の一瞬に、美しさと儚さ、生活と時間、脆さと希望。様々な星屑がきらめいていて、撮影をしながらも、名作の誕生に携わっている名誉を感じていました。
中島歩(御前崎透役)
昨年の恐ろしく暑い夏の撮影を振り返ると、はじめに早川さんの姿や声が思い浮かびます。
僕は彼女が感じている世界の一部であったように思えてくるのです。
懐かしく寂しく美しい世界に、潜るような映画体験になるでしょう。
ぜひ劇場でご覧ください。
河合優実(北久理子役)
1日だけの参加でしたが、早川千絵監督の人柄が滲み出ているような、あたたかく、純粋で、細やかな仕事の集まった現場だなと感じました。その中で慎重に、自分にできることをしました。この映画にお力添えできて嬉しいです。まだ完成を観られていないのですが、早川監督の内にあるものから生まれた新たな世界と、鈴木唯さんのまだ何にも縛られない自由な魂がきっと映っていることと信じています。
坂東龍汰(濱野薫役)
早川組に初めて参加させていただき、とても嬉しかったです。今まで経験した現場とは少し違い、いろんな国のスタッフの方々との現場づくりはとても新鮮で刺激的でした。僕は唯さんとのシーンが多かったのですが彼女の持つ不思議な魅力にちゃんと反応できるように、そして現場での状態を柔らかく保てるように心がけました。これからこの映画を見てくださる方々にどのように受け取っていただけるのかとても楽しみです。
「ルノワール」
出演:鈴木唯、石田ひかり、中島歩、河合優実、坂東龍汰、リリー・フランキー
脚本・監督:早川千絵
企画・制作:ローデッド・フィルムズ
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
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